お彼岸とは
お彼岸とは、春と秋の年2回行われる、ご先祖様や自然に感謝の意を表す日本特有の仏教行事のことを言います。
春のお彼岸は「春彼岸」、秋は「秋彼岸」とも呼ばれます。お彼岸は、春分の日(3月20日頃)と秋分の日(9月23日頃)を中日(なかび・ちゅうにち)とした、前後3日を合わせた7日間です。
従って、春は3月18日から3月24日頃まで、秋は9月20日から9月26日頃までの期間が「お彼岸」です。また、お彼岸の期間の初日を「彼岸入り」、最終日を「彼岸明け」と呼びます。なお、春分の日と秋分の日は年によって異なるため、お彼岸もそれに合わせて前後します。
お彼岸が春と秋である理由
お彼岸が春と秋である理由は仏教にあります。仏教では、ご先祖様がいる世界を「彼岸(ひがん)」、私たちがいる世界を「此岸(しがん)」と言います。
また、「彼岸」は西に、「此岸」は東に位置するとされており、春分の日と秋分の日に、太陽が真東から昇り真西に沈むため、「彼岸」と「此岸」が最も通じる日になると考えられています。
従って、太陽が「彼岸」と「此岸」をつなぐ春と秋に「お彼岸」としてご先祖様を供養することが習わしになりました。
お彼岸にすること
お彼岸にするべきことは、お墓参りだけではありません。
お彼岸ではないとなかなかできないこともあるので、ぜひこの機会に実践してみましょう。
お墓参りをする
お彼岸のお墓参りは、お彼岸の期間内であれば自身の都合の良い日に行けば問題ありません。ただし、「入り花を折らぬ」という言葉にもあるように、お彼岸の初日である「彼岸入り」にお墓に花を供えるのはタブーです。
この言葉は、お彼岸になってから急いでお墓参りをするのではなく、お彼岸になる前に、お墓を掃除して花を供えましょう、という意味を持ちます。
お墓に供える花は、地域によって異なりますが、菊ではなく旬の花や故人が好きだった花を選ぶのが一般的です。
どんな花でも良いと言っても、トゲがある花(バラやアザミなど)、ツルがある花(スイートピーやクレマチスなど)、毒がある花(カラーやチューリップなど)などは仏花では禁忌とされているため避けましょう。
旬の花で選ぶ際は、白や赤、黄色などの明るく鮮やかな色がおすすめです。春はスイートピーやフリージア、秋はりんどうやキキョウなどが良いでしょう。カーネーションやユリ、トルコキキョウは、春・秋共通して供えることができます。
仏壇に和菓子をお供えする
お彼岸には、仏壇に和菓子をお供えしましょう。春のお彼岸には「ぼたもち」をお供えします。おはぎと材料は同じですが、ぼたもちは「こしあん」、おはぎは「つぶあん」で作られています。
春のお彼岸には、9月~11月に収穫して保存しておいた小豆を使ってあんこを作ります。小豆は収穫したてのときより皮が硬くなっているため、春はこしあんである「ぼたもち」をお供えするのが一般的です。
「ぼたもち」の名前は、春の花である「牡丹」に見立てて「牡丹餅(ぼたもち)」としたことに由来します。これに対し、秋のお彼岸にお供えするのは「おはぎ」です。
秋はちょうど小豆の収穫時期のため、小豆の皮のやわらかさを活かした粒あんのおはぎをお供えするようにします。
「おはぎ」の名前は、秋の花である「萩の花」に見立てて「御萩」としたのが由来です。また、お供えする和菓子に「落雁(らくがん)」も適しています。
見た目も華やかで春・秋問わずお供えできるため、おすすめの和菓子です。これらの和菓子は、ご先祖を大切に供養する気持ちが込められています。
自身を見つめ直す
お彼岸は自分を見つめ直す期間でもあります。極楽浄土である「彼岸」へたどり着くためには「六波羅蜜(ろくはらみつ)」と呼ばれる教えを修めることによって、この世の迷いや苦悩、煩悩などを断ち切ることが大切だと考えられています。
「六波羅蜜」とは、「布施波羅蜜(ふせはらみつ)」「持戒波羅蜜(じかいはらみつ)」「忍辱波羅蜜(にんにくはらみつ)」「精進波羅蜜(しょうじんはらみつ)」「禅定波羅蜜(ぜんじょうはらみつ)」「般若波羅蜜(はんにゃはらみつ)」これら6つの徳目を指します。
中でも「禅定波羅蜜」は、集中して乱れた心を安定させ、冷静な目で自分を見つめ直すことを意味します。
このように、お彼岸はご先祖様を供養するためだけではなく、自身を見つめ直して修練するための期間でもあります。日本独自の文化とはいえ、自身を見つめ直せる貴重な期間であることには変わりません。
まとめ
お彼岸の基本情報から、お彼岸が春と秋である理由、そしてお彼岸にするべきことについて解説しました。お彼岸の成り立ちやするべきことを知ると、お彼岸を大切に過ごしたい気持ちになりますよね。
次のお彼岸は、ご先祖様や自然に感謝の気持ちを込めて過ごしてみてはいかがでしょうか。