葬儀で失敗してしまうのはなぜ?
葬儀で失敗をするのは、多くの場合不慣れであることが理由です。
葬儀を執り行う立場になったり、参列者になったりする機会は頻繁にあるわけではなく、葬儀当日に緊張して失敗をすることは誰にでも起こりうる話です。
そして、葬儀では状況によって様々なルールやマナーが存在します。
近年ではあまり作法にこだわらないという施主も増えていますが、それでも基本的なマナーやルールに関しては調べておくべきです。
葬儀の場は独特な空気があり、ただでさえ緊張するものです。その場で対応できると思わず、必ず下調べをするように心がけましょう。
葬儀で避けたい行為
ここでは、葬儀に参列する際に必ず避けなければならない行為をご紹介します。
トラブルを防ぐための対処法についても解説します。
香典に新札を包む
香典を用意する際は新札ではなく、折り目やシワが付いたお札を選ぶことがマナーとされています。
新札は故人の不幸を予期して準備したものと捉えられ、また遺族に新しい不幸が訪れないようにするという気遣いから、香典では古札が包まれます。
そうは言っても、葬儀のタイミングによっては手元に新札しかないことも考えられます。
葬儀まで時間的な猶予がない場合、お札を一度二つ折りにしてから戻すと多少古いお札に見せることができます。
真新しく見えない程度で問題ないので、折る回数は1回か2回で充分です。
通夜振る舞いの誘いを断る
通夜振る舞いとは通夜が終了した後に実施される会食で、「お斎」とも呼ばれます。
首都圏では多くの場合全参列者が出席しますが、地域によっては故人の身内だけで実施する場合もあります。
参加するようにお誘いを受けた場合、必ず料理をいただくのがマナーです。
通夜振る舞いは葬儀の一過程であり、故人を偲ぶという目的で催されています。
どうしても断らざるを得ない事情がある場合は、一口だけでも戴いて帰るようにしましょう。
もちろん、途中退席する際は遺族に一言断ってから動きます。
なお、地域によって通夜振る舞いの作法が異なるだけでなく、近年では会食の代わりに折詰めや商品券などの「粗供養品」を持たせるケースもあります。
遠慮のない私語
葬儀の場では、大声で喋ったり笑ったりする行為は避けるべきです。
基本的なマナーとして、葬儀の最中は私語を慎み、故人を偲ぶことに集中しましょう。
場合によっては、故人を供養する目的で談笑することはあります。
適度な思い出話は遺族にとっても良い慰めになるでしょう。
ただし、関係ない世間話を延々としたり、仕事仲間に会ったからとビジネストークを展開したりすることは避けるべきです。
葬儀で避けたい言葉
直接お悔やみの言葉を述べたり、弔電や手紙を出したりする際には「忌み言葉」を避けて弔意を伝えることが遺族に対するマナーです。
特に気を付けるべき忌み言葉として、仏教式の葬儀では「浮かばれない」「迷う」といった表現が挙げられます。
神道式やキリスト教式の葬儀では、「成仏」「往生」「ご冥福」といった仏教特有の表現は避けましょう。
また、いずれの宗教にも共通するものとして、別れや不吉なことを連想させる言葉も避けます。「最後に」「終わる」「短い」「忙しい」「倒れる」などは使ってしまいやすい表現ですが、マイナスイメージがない言葉に言い換えるように心がけましょう。
同じ言葉を繰り返す「重ね言葉」も不幸が続くことを連想させるため使用してはいけません。「だんだん」「益々」「皆々様」など、把握していないと失敗を防ぎづらい点なので注意しましょう。
また、当然ですが葬儀の場では「ヤバい」「マジ」「ぶっちゃけ」などの過度にくだけた表現は絶対に避けましょう。
上記でご紹介したのは一部であり、避けるべき忌み言葉は数多く存在します。
言葉以外にも、故人の失敗談や暴露話といった場の性質に合わない話や、無関係な宗教や政治に関する話題も避けるべきです。
葬儀で起こった失敗談
ここでは、葬儀の場で実際にあった失敗談の中で、特に良くあるケースをご紹介します。
普段は起こらないようなことでも、葬儀による緊張や焦りで大きなミスをするのは誰にでもあり得る話です。
事前に知っておくことで失敗を防げる場合もあるので、まさか自分がとは思わずに、ぜひ一度以下に目を通してみてください。
会場を間違える
違う人の葬儀に参列してしまうことは、大規模な葬祭場を利用するときに起こりやすい失敗です。
葬儀が始まってしまうとさり気なく離席するのは困難ですが、焦って会場に入り葬儀が始まってから間違いに気づくというケースは実際にあるようです。
場合によっては同じタイミングで同じ姓名の家が葬儀をするケースもあるので、焦らずに場所を確認してから会場に入りましょう。
自分では判断が難しい場合、窓口や受付のスタッフに確認してもらうと失敗を防ぐことができます。
服装の失敗
お通夜、葬儀などでは喪服を着用するのが一般的です。
遺族でなければ平服でも問題ありませんが、葬儀における平服とはスーツのことを指します。
普段着で会場へ向かい、周りを見て間違いに気づくような状況は避けたいものです。
葬儀における男女共通のマナーとして、スーツの色は黒か濃紺を選び、光沢のある服や殺生を連想させる毛皮や皮革は避けます。
男性の場合、スラックスは裾がシングルの物を着用し、ベルトは光沢のない黒無地が好ましいでしょう。
ワイシャツは白無地のベーシックなもので、ネクタイも黒無地を選びます。
ネクタイはディンプルを作らないように結びます。
女性の場合、トップスは長袖から五分袖で、スラックスもしくは膝下丈のスカートが一般的です。
装飾品は真珠が定番ですが、華美な印象を与えるものは避けましょう。
バッグを持つ際は光沢がない黒いものを選びましょう。
お焼香の方法が分からない
お焼香をするとき、宗派ごとの作法が分からなくなったり、緊張して熱い部分をつまんでしまったりする方も多いようです。
焼香の仕方を遺族の宗派に合わせるか、特にこだわらないかは状況によります。
相手方の宗派が分からないのであれば、自分が知っている作法で焼香するようにしましょう。
万が一炭や香炉を触って火傷した場合は、焼香の後に離席して指を冷やすようにしましょう。
睡魔に負ける
葬儀中に無言で座っている時間が長いと、不意に眠くなる可能性があります。
特に読経の時間中に起こりやすい失敗です。
当日にできる対策としては、なるべく背筋を伸ばして座ったり、さりげなく手を掻いたりするなどがあります。
椅子に腰かける場合は、寄りかからないようにするだけでも眠気を防ぎやすくなります。
スマホが鳴る
葬儀の最中に携帯やスマホが鳴ってしまうという失敗は特に起こりやすいことです。
葬儀の場ではマナーモードの振動でも目立つので、前もって電源をオフにすることをお勧めします。
特に読経中や喪主による挨拶のタイミングで着信音が鳴ってしまうと、着信音によって葬儀の流れが一時中断する場合があります。
起こりやすさに対して発生した際のリスクが特に大きい失敗例なので、もし不安であれば端末を持ってこないことも考えてみましょう。
葬儀社が運営を担当している場合、葬儀の前に携帯やスマホの電源をオフにするか、振動しないマナーモードにするようにアナウンスされることが一般的です。
ここで改めて確認するようにしておくと、思い込みによる失敗を防ぎやすくなります。
足がしびれる
長時間正座する葬儀の場合、途中で足がしびれて立ち上がれなくなることがあります。
焼香のタイミングで足がしびれていたら、他の人にサポートしてもらうか、足を楽な形にして回復を待つようにしましょう。
急いで立ち上がると転倒する可能性があるので、焦らずに対処するべきです。特に立つ必要がない時でも、足がしびれそうになってきたら正座を多少崩して、適宜ケアするように心がけましょう。
その他の対策として、正座するときに膝頭を少しだけ離して置き、足の親指を上下に重ねるようにして座ると長時間正座していても足が疲れにくくなります。
笑いを堪えられない
葬儀の場で笑うことは、故人や遺族、参列者に対して非常に失礼な印象を与えてしまいます。
葬儀を実施する時は、ほとんどの遺族は故人を失ったことを深く悲しんでいるものです。
そこで参列者が笑うと、場合によっては葬儀が開かれたことを喜んでいるように解釈されてしまいます。
このような事態は必ず避けましょう。
頭では理解していても笑ってしまう人は、緊張が原因である可能性があります。
長時間にわたって緊張していると、人は笑顔を作るという本能があります。
また、同じく緊張が理由の「失笑恐怖症」というものもあります。
簡単に言うと、笑うべきでない状況に置かれると、過度のストレスが掛かって勝手に笑ってしまう症状です。
対応策としては、普段から適度に緊張する状況に慣れておくか、症状に対応できる医者に相談するなどがあります。
まとめ
葬儀で避けるべき行動や防ぐべき失敗例をご紹介しました。
葬儀当日は自分が思っている以上に緊張していることが多く、携帯が鳴ったり足がしびれてしまったりなど、普段では起きないようなミスを起こす人が増えることが失敗談から読み取れます。
忌み言葉や緊張への対応策などは冠婚葬祭全てに応用できることなので、ぜひこの機会にこの記事で紹介したことを覚えておきましょう。