遺影写真とは
葬式の際、祭壇に置く故人の写真の事を遺影写真と言います。
遺影写真を置くという習慣は歴史が浅く、20世紀に入ってから始まったと言われています。
遺影写真は故人のためにあると考えている人は少なくありませんが、実は生きている私達が弔いの心を向けるために存在しています。
焼香を行う際に、遺影に向かって手を合わせて語りかけます。
その際に、故人を悼み、語りかけ、成仏の気持ちを向けるためのアイテムとして遺影は大変重要です。
遺影写真を選ぶポイント
故人が写っているたくさんの写真の中で、遺影写真にふさわしい写真を選ぶのは簡単なことではありません。
遺影写真選びのポイントは、表情を重視する、ピントの合った写真を選ぶ、できるだけ新しい写真を選択する、服装や背景に気を配る、通夜までに写真を決める、というの5つです。
これらのポイントについて1つずつ解説していきます。
表情を重視する
まず初めのポイントは、故人の写真の表情を重視するという事です。
真面目で実直な人であればキリッとした表情の写真を、穏やかで優しい人であれば笑顔の写真を選ぶといった具合に、故人の人柄を表した表情の写真を選びましょう。
印象と表情が一致する写真を選ぶと、遺影写真を飾った際に、参列者の方々が故人の事を思い出しやすくなります。
ピントの合ったもの
次に、故人がカメラに目線を向けて写っていて、顔にピントの合ったものを選びましょう。
ピントが合っていない写真は、加工技術でも修正が難しく、そのままになってしまう可能性があります。
葬儀では、遺族や参列者が一人ずつ遺影を見つめながら焼香・手合わせをします。
ピントが合っているものを選んだ方が、より故人に想いを寄せて悼むことができるでしょう。
できるだけ新しい写真を選ぶ
さらに、できるだけ最近の写真を選びましょう。
ご年配の老人が亡くなったのにも関わらず、年齢が若い時の写真を遺影にしてしまうと、とても違和感が出てしまいます。
かといって、闘病の末亡くられた場合など、直近の写真を選ぶのが辛い場合もありますので、その場合は無理に新しい写真を選ばなくても大丈夫です。
一般的には、亡くなる1~5年前の写真が選ばれるようです。
よく見かける顔の写真を使うことで、故人の歩んできた年月を振り返りながらお別れができます。
背景や服装にも気を配る
また、遺影に使う写真の背景には、その場にそぐわない物や他の人が写っていないものを選びます。
ただし、最近では写真加工技術が進歩していて、単なる背景の変更だけではなく、故人の肩に乗った他人の手だけを消すことや、複数人写っている写真から故人だけを取り出して遺影用に変えたりすることも可能です。
なお、服装については、必ずしも着物やスーツを着ている必要はありません、後から修正することも可能な為、その人らしい服装であれば何を着ていても良いです。
「あの服気に入っていたなぁ」「あの色が好きだったね」と故人を思い出すきっかけにもなるでしょう。
通夜までに写真を決める
最後のポイントは時間制限が有るということです。
1つの期限として、通夜までに写真を用意する必要があります。
通夜には遺影写真を置くため、一番遅くとも、通夜当日の午前中までがタイムリミットのようです。
写真の加工等をする必要があるので、なるべく早めに写真を決める必要があります。
実質2~3日しか時間が無いため、家族と相談して素早く決めましょう。
良い遺影写真を準備するには
良い遺影写真を準備するには、いくつかの手段が考えられますが、日頃から写真を撮る習慣を身につけるか遺影撮影サービスを利用すると良いでしょう。
最近は終活といって、自分の相続や葬式についてあらかじめ用意しておく人も増えています。
その一環として生前から遺影写真を用意しておく方も増えてきています。
日頃から写真を撮っておく
最近は、デジタルカメラやスマートフォンのカメラの普及で、日常的に写真を撮る機会が増えました。
しかし、気軽に撮影できるようになっても、自分の写真となると少ないという人もいるようです。
時には、自分の写真や家族の写真を撮っておく習慣を身につけておきましょう。
その際に、写真の保管場所を家族に伝えておくのを忘れないように注意しましょう。
遺影撮影サービスを利用する
遺影撮影サービスを行っているのは、遺影写真を生前に撮影させてくれる写真店や遺影写真を専門に作成をしてくれる業者です。
これらの業者は、オプションで衣装の用意をしてくれたり、プロのヘアメイクさんを手配してくれたりします。
また、撮影はプロのカメラマンが行っているので、表情を引き出すことが上手です。
「写真が苦手でちょっと...」という方でも、自然に良い表情の写真を撮影することができ、撮影した幾つかの写真の中から自分の気に入った写真を選ぶことができます。
納得のいく遺影写真を残したいのであれば、このような遺影撮影サービスを利用すると良いでしょう。
遺影写真を作成するには
遺影写真を作成するには、3つの方法があります。
業者に既存の写真を活用して遺影写真を作ってもらう、家庭で加工アプリや修正ソフトを使い故人の遺影写真を作る、生前に自分で自分の遺影写真を作成しておく、という3つです。
これら3つの方法の料金と作成手順について次に解説します。
料金について
料金については、それぞれのやり方によって金額が異なります。
業者に依頼する場合の料金は業者によって異なり、大体5,000~7,000円位が相場のようです。
さらに、額縁やリボンを付ける場合、5,000円程度金額が上がります。
また、写真のサイズや枚数によって金額が変わってくるので、詳細やアレンジは加工業者に直接問い合わせると良いでしょう。
家庭で故人の遺影写真を作る場合、無料で作成することができます。
最近は、無料の加工アプリや修正ソフトを使うことで作成することができるからです。
しかし、無料の加工アプリや修正ソフトではできることにも限界があります。
それ以上の品質や機能を求める場合は、有料のアプリやソフトを使う必要性が出てきます。
生前に自分で遺影写真を作成しておく場合の料金は、遺影写真を撮る葬儀社や撮影スタジオによって値段が変わりますが、大体25,000~30,000円位が相場のようです。
撮影スタジオによっては、1万円前後で撮影してくれるところもあります。
また、オプションでメイクや衣装の貸し出しがあるところもあります。
さらに、遺影写真や額縁のサイズによっても値段が変わってきます。
作成手順について
業者に依頼する場合の作成手順として、まず故人が写っている集合写真やスナップ写真などを業者に渡します。
業者は必要な部分のみを切り取ったり、不足部分を追加したりして、遺影写真を作成していきます。
また、服装を喪服にしたり、背景を好きなものに変更したりすることもできます。
次に、家庭で故人の遺影写真を作る場合の作成手順です。
こちらも故人が写っている集合写真やスナップ写真などを使います。
自分で無料の加工アプリや修正ソフトをパソコンにインストールした後、写真を加工します。
加工した写真データをプリンターで必要な大きさに出力して、買ってきた額縁に当てはめれば完成です。
自由にアレンジを行い、安価に作成できるというメリットがある一方であまり完成度は高くなりません。
安く済ませたい方は、こちらの方法でも良いでしょう。
最後に、生前に自分で自分の遺影写真を作成しておく方法の場合の作成手順です。
生前に遺影写真を撮影する訳ですから、プロのカメラマンないし自分のデジカメで撮影を依頼します。
ここでのメリットは自分の納得のいく写真を準備することができます。
ポーズや服装やアイテムや髪型など自由に事前に選べます。
さらに、生前の元気なうちに遺影写真を撮影しておけるので、通夜や告別式で忙しくなる家族や親族への負担を減らすというメリットもあります。
自分の納得のいくお葬式をしてもらいたい場合、生前に遺影写真を撮影しておくと良いでしょう。
まとめ
遺影写真は、通夜や告別式において重要なアイテムですし、参列者の方々の記憶に残る写真にしたいものです。
この記事で紹介した選び方のポイントや遺影写真の作成方法で、良い遺影写真を作成し、故人との思い出の回想、故人への感謝の気持ちや哀悼の意につながることを願っています。