仏具とはなにか
先祖や故人を供養するために仏壇に飾る道具を仏具といいます。仏具を仏壇へ飾ることを、仏教では荘厳(しょうごん)するといいます。
昔の仏壇に比べてコンパクト化されている近年の仏壇では、香炉(こうろ)、花立て(はなたて)、火立て(ひたて)の3種類の仏具のみを飾ることが多くなっています。
この3種類の仏具のことを三具足(みつぐそく)と呼びます。三具足は葬儀の時から必ず揃えなければならないもので、これらの仏具を飾ることで仏壇は意味を持つものになります。
仏具の数は三具足の他に、四具足(しぐそく)、五具足(ごぐそく)、十一具足などがあり、宗派によって飾る仏具にも違いがあります。
仏具にはどんなものがあるの?
仏具には、基本的な香炉や花立て、火立てのほかにも様々なものがあります。宗派や仏壇のサイズによって、仏壇に飾る仏具の種類と数は異なります。
仏具の中には、省略しても良いものや、日用品などで代用可能なものがあります。ここでは家庭で使われる一般的な仏具をご紹介します。
香炉
線香を焚くために使う仏具が香炉です。線香の他に抹香を焚くこともあります。
香炉には、前香炉や玉香炉、土香炉、火舎香炉といった様々な種類があり、宗派によって使う香炉に違いがあります。
最もよく使われる香炉は前香炉と呼ばれる広口のものです。3本足の前香炉の場合は、1本足が手前に、2本足が奥に来るように飾ります。
香炉の中には香炉灰を入れますが、最近は洗って何度も使える香炉石という天然石を使ったものも販売されています。
火立て
ろうそくを立てる燭台のことを火立てと呼びます。火立てに立てるろうそくは、灯りをともして故人の供養をするためのもので、線香に火をつけるためのものではありません。
人の息は不浄なものとされている為、ろうそくの火を消す時は、息を吹きかけるのではなく、ろうそく消しを使ったり手であおいだりして消しましょう。
花立て
仏壇に供える花を飾る花瓶のことを花立てと呼びます。供える仏花は生花を使うことが多いですが、プリザーブドフラワーなどの手入れが必要ない花を飾ることも多くなっています。
花立てに飾る花には、棘があるものや香りの強いもの、毒がある花を避けるようにします。
茶湯器
故人にお茶や水を供えるための仏具が茶湯器(ちゃとうき)です。お茶や水は朝に新しいものと取り替えます。
本来、供える水は浄水という清い水を使うとされていますが、水道水でも問題はありません。
浄土真宗はお茶や水を供えないため、茶湯器は使いません。
仏飯器
故人に供えるご飯などを盛るための仏具を仏飯器(ぶっぱんき)と呼びます。供えるご飯は炊きたてのものを用意します。
ご飯は基本的に毎日取り替えますが、炊きたてのご飯がない時は、新しく炊いた時に供えるようにします。
ご飯を炊かない場合はパンを供えても問題はありませんが、生モノや臭いのキツイものを供えることは避けましょう。
高杯
高坏(たかつき)は、果物や菓子を仏前に供えるための仏具です。高月と書かれることもあります。
高坏は皿などで代用できるため、必ず揃えなくてはならないというものではありません。
同じような用途で使われる供物皿という仏具もありますが、こちらも白い皿で代用可能です。
リン
読経の際に鳴らす仏具のことをリンといいます。リンの音は邪気を祓うものとされており、空間の浄化のために鳴らします。
また、これから読経をすることを故人に知らせるための合図の役目もあります。
リンにはリン棒というリンを鳴らすための棒と、リン台や座布団がセットになっています。
木魚
読経でリズムを取るために叩くものが木魚(もくぎょ)です。素材は木でできており、中をくり抜いた上で、表面に魚を彫っています。
木魚布団という専用の座布団に乗せ、木魚バチで叩いて音を鳴らします。鳴るのが特徴で、木鉦と書かれることもあります。
木柾は日蓮宗や法華宗のみで使用されているもので、その他の宗派では木魚を使います。
仏具の正しい飾り方
仏壇に飾る仏具には、必ず揃えなくてはならない三具足の他に、四具足、五具足などがあります。
宗派によって仏具の数が決まっていたり、左右が決まっている仏具があったりすることがあるため注意が必要です。
三具足の仏具と飾り方
三具足の仏具は、香炉1つ、花立て1つ、火立て1つの計3つです。
仏壇に飾る際は、中心に香炉を、向かって左に花立てを、右に火立てを飾ります。
五具足の仏具と飾り方
五具足では、火立てと花立てが2つずつになります。
火立てと花立ての飾り方は、中心に置いた香炉の両脇に、火立て、花立ての順で左右対称になるように飾ります。
浄土真宗の場合は
浄土真宗では、魂は死後すぐに極楽浄土へ行くという思想を持っています。
そのため、お茶や水を供えることはせず、代わりに樒(しきみ)やヒサカキを供えるなど、他の宗派とは異なる供養を行います。
本願寺派では、本願寺派だけで使われる仏具を飾る四具足というものがあります。
大谷派の場合は、四具足ではなく三具足か五具足になりますが、使用する仏具がほかの宗派とは異なります。
まとめ
本記事では、仏具とはどういうものなのか、新しく仏壇を用意する時に必要な仏具は何なのか、どういう飾り方をすれば良いのかをご紹介しました。
必ず準備しなければならないものから他で代替可能なもの、特定の宗派では特に注意が必要なものがあることをお分かりいただけたかと思います。
仏具は供養の気持ちを個人へ届けるための道具です。毎日欠かさずにお祈りをして、故人に感謝の気持を伝えられると良いですね。