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納骨後に分骨しても大丈夫?基本的な手順と供養方法を解説

  • 更新:2023/12/29
  • 公開:2023/3/9

このような方に読まれています

  • お墓に納骨したいが、手元にもお骨を残したい
  • 分骨する際の入れ物は何を選べばいいの?
  • 分骨方法を知りたい

分骨という納骨方法をご存知でしょうか。分骨はその名のとおり、お骨を分けて納骨することを指します。
葬儀とともに納骨のスタイルが多様化している現代において、分骨は代表的な選択肢のひとつとなっていますが、そうはいってもまだ馴染みが薄いでしょう。

そこでこの記事では、分骨に関する基本知識や供養方法などをご紹介します。

分骨とは

分骨とは、亡くなられた方の遺骨を複数の別の場所に納めて供養することを指します。分骨される理由は、菩提寺が遠方にあるためだったり、故人と常に一緒にいたいというご遺族の意向を尊重したものだったりと様々です。

遺骨をひとつの場所にお納めすることが一般的である日本においては、亡くなった方の魂はその遺骨に宿るという考え方が普及しています。

そのため、分骨は「ばち当たりである」「縁起が悪い」と言われたり、仏教の輪廻転生(りんねてんしょう)の教えから、故人の魂が分割されるがゆえに転生(生まれ変わり)した時に体が不自由になるのではないかと言われたりすることがあります。

しかし、故人が四十九日を迎えた後は遺骨に魂は残っていないのです。そのため、故人の魂が引き裂かれてしまったり、生まれ変わりの際に体が不自由になったり、ということはありません。

逆に、故人が亡くなった後もご遺族の心に寄り添い支えになることのできる、という意味で非常に尊いものであるといえます。

分骨を実施する目的

先ほども述べたとおり、分骨を実施する理由は多岐にわたります。例えば、菩提寺が遠くにあることや、兄弟が離れて暮らしていることなどを理由にそれぞれ違う場所にお墓を建てている場合があります。

また、宗教上の慣習で分骨をするといったパターンもあります。一例ですが、浄土真宗では宗祖への畏敬の気持ちをこめて分骨を行いました。信徒が亡くなったときに分骨を行って遺骨の一部を本山に納めるということが、古来より習わしとして行われてきたのです。

近年は、大切な方が亡くなったという悲しみがあまりに強く、故人と離れずに一緒にいたいという思いを抱くご遺族も増えています。
そうした方々は、分骨後の遺骨を身代わりとして手元に置いて供養をするという目的で分骨しています。

分骨を実施する手順

分骨には、火葬の際に火葬場で実施するパターンと、既にお墓や納骨堂に納められている遺骨を分骨するパターンの2つに分けられます。

ここでは分骨の手順を中心に、2つのパターンについて解説します。

火葬場で実施する場合

火葬場で分骨を実施する場合の手順は以下のとおりです。

1. 分骨する際に遺骨を納める骨壺を準備しておく。
2. 火葬場に分骨用の火葬証明書、もしくは分骨証明書の発行の手続きをする。
3. 骨上げをする時に、あらかじめ準備したそれぞれの骨壺に遺骨を納めていく。
4. 分骨用の火葬証明書、もしくは分骨証明書を分骨先の管理者に提出する。
5. 分骨先への遺骨の納骨を行う

火葬場で発行してもらう「火葬証明書(分骨用)」もしくは「分骨証明書」は、分骨するお骨の分が必要になります。発行にかかる手数料は火葬場を管理している自治体によって異なりますが、おおむね1通につき300円程度です。

ご自身で依頼するのが難しい場合、事前に葬儀社に手配をお願いすることができます。ただし中には当日にならないと証明書の発行ができない火葬場もあるため、事前に火葬場に確認しておく必要があります。

納骨後に実施する場合

次に、既に納められている遺骨を分骨する際の段取りについてご紹介します。
手順は以下のとおりです。

1. お墓や納骨堂を管理する寺院や管理する企業に分骨証明書の発行を依頼する
2. 分骨前のお墓や納骨堂から遺骨を取り出す日程を決める
3. 閉眼供養(へいがんくよう)といわれる、仏さまの魂を抜くための儀式を行う
4. 石材店、もしくは寺院に遺骨の取り出しを依頼する
5. お墓や納骨堂に遺骨を戻し、仏さまの魂を入れるための開眼供養(かいがんくよう)を行う
6. 分骨先の管理者(寺院や管理する企業など)に分骨証明書を提出する
7. 分骨先に遺骨を納骨し、分骨先でも開眼供養を行う

まず、遺骨が納められているお墓や納骨堂を管理する寺院、あるいは遺骨の管理をしている企業に「分骨証明書」の発行をしてもらうための手続きが必要になります。

発行にかかる手数料は、1通あたり100円程度です。また、開眼供養・閉眼供養の依頼も必要になります。遺骨を取り出す際、墓石を動かさなければならない場合、石材店にも墓石を動かすための依頼をします。

開眼供養・閉眼供養にかかる費用として1万円~3万円、墓石の移動費用には2万円~3万円程度かかります。寺院や石材店によって金額は異なるため、事前に必ず確認をしましょう。

分骨壺の選び方

分骨用の骨壺を選ぶポイントとしては、「価格」「デザイン」「素材」「サイズ」があります。現在は手元供養をする人も多くなってきているため、価格やサイズが豊富になり、多様な素材が用いられた美しいデザインのものも増えてきました。

自宅の広さや雰囲気など、ご遺族や故人の好みに合わせて選べるようになってきています。

分骨用の骨壺としては、「ミニ骨壺」と呼ばれる2寸~3寸程度の大きさのものを選ばれる方が多いようです。ミニ骨壺のサイズ選びは、骨壺に入れる遺骨の量や、安置する場所や仏壇とのバランスによって決めるとよいでしょう。

据え置き型

据え置き型の小さなサイズの骨壺で、仏壇などの場所に置いておくことのできるポット状のものやおしゃれな壺のような外見のものがあります。

また、材質もガラス製や漆器など、非常に豊富です。仏壇の雰囲気を壊さず、なおかつ故人の好きそうなデザインのものを選ぶとよいでしょう。

携帯型

常に遺骨を持ち歩くことができる携帯型の骨壺を選ぶ方も多くいます。リップスティック(口紅)のような形をしたものが多く、その中に故人の遺骨を入れることで持ち運びができるようにします。

キーチェーンがついているものもあります。
また、「遺骨ペンダント」を作って持ち歩く人もいます。

分骨後の供養方法

分骨をした後は、供養の方法をどうするかという課題が残ります。

お墓へ分骨されているならお墓参りをすることで供養ができますが、ここではそれ以外の供養方法についてご紹介します。

手元供養

手元供養は「自宅供養」と呼ぶこともあります。遺骨や遺灰を、お墓や納骨堂に納める代わりとして、自宅で手元に置いて供養することです。

人それぞれ異なる生活様式に合わせて供養の方法を選ぶことができるのがメリットで、手元供養が多様化するにつれて、供養品のデザインや素材なども多様化してきています。

住まいの広さに応じて、ミニ仏壇やミニ骨壺を選ぶこともできます。故人とずっと一緒にいたいという想いから「遺骨ペンダント」をつくって持ち歩く方や、粉骨を加工したアクセサリーや陶芸品を作る方もいます。

永代供養

永代供養とは、ご遺族の代わりに寺院や霊園がお墓や納骨堂の管理や供養を行ってくれる埋葬のことを指します。永代供養墓は、納骨塔のような形や霊廟のような形など多様で、屋外にあることもあれば、屋内にあるものもあります。

ご遺族の希望する永代供養墓を選んで埋葬することが可能です。
なお、「永代供養」という名前ではありますが、永久に供養をしてくれるというわけではなく、期間が限定されている場合がほとんどです。

期間については寺院や霊園によって異なるため、事前の確認が必要となります。

喉仏供養(散骨)

遺骨の喉仏だけを残して納骨し、残りは散骨して埋葬する、という方法もあります。散骨する場所は、海や山、空、ご自宅の庭への散骨などが可能です。

気をつけなくてはならないこととして、遺骨は必ずパウダー状に粉骨してから散骨しなければならないことと、自治体によって散骨できる場所を条例で決めていることが挙げられます。

散骨する際は、葬儀社や散骨専門業者へ相談や依頼をするようにしましょう。

まとめ

この記事では、分骨をする際の手順と、分骨後の供養方法について解説しました。

分骨したいと考える理由は人それぞれで、先述のとおり、分骨すること自体はばち当たりなことでも、縁起の悪いことでもありません。ご自身の生活様式や事情にあった分骨の仕方を考えてみましょう。

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