お悔やみの手紙の意図とは
お悔やみの手紙は、何らかの事情で通夜や葬儀に参列できない場合、お詫びと故人を悼む気持ちを表す目的で送ります。
すぐには駆けつけられないことを表明するという意図があるので、後日弔問に伺える場合でも手紙は出す必要があります。
ただし、訪問の予定がある場合は文面に弔問へ伺う旨を記しておくと良いでしょう。
お悔やみの手紙はいつ送る?
お悔やみの手紙は、訃報に接してからできるだけ早く出すものです。多くの場合、先に弔電を打ってから手紙を送ります。
前述のとおりお悔みの手紙には故人に対する哀悼をとり急ぎ表明するという意図があるため、基本的には初七日までに届けられるようにしましょう。
一方で、喪中はがきが届くまで訃報を知らなかった、というケースも意外に多いものです。葬儀後に訃報に接した場合でも、なるべく早めにお悔やみの手紙を送りましょう。反応が遅れてしまったことを手紙で謝罪するのを忘れてはいけません。
また、喪中はがきを受けて香典を送りたいと考える方もいるかと思いますが、遺族の方に気を使わせないように、あえて香典ではなく手紙だけを送る場合もあります。香典に手紙を同封する場合の注意点は後述します。
お悔やみの手紙の書き方
ここでは、お悔やみの手紙の基本的な書き方や言葉の選び方をご紹介します。手紙全体に言えるポイントとしては、縦書きで記すこと、そして「再三」や「益々」といった繰り返しの表現や死を連想ささる忌み言葉は避けることが挙げられます。
以下では手紙を書く流れに沿って個別に解説します。
書き出しの言葉
お悔やみの手紙では、頭語や時候の挨拶は省略して本文から書き始めます。最初からお悔やみの言葉を述べることで、故人への悼みをよりストレートに表現することができます。
故人と生前親交があった場合は、書き手と故人がどういった関係であったかを分かりやすく記すようにしましょう。
なお、故人ならびに親族が仏教徒である場合は、結語として「合掌」という表現を用いることが可能です。
参列できないお詫びの言葉
会葬できない理由とお詫びを述べる際は、「やむを得ない事情」「事情によりかなわず」などと簡潔に理由を述べて、お詫びの言葉を添えるようにしましょう。
手短に根拠を述べることは問題ありませんが、冗長にならないように心がけます。
励ましや元気づける言葉
お悔やみの手紙では、頭語や結語を省く代わりに遺族を労る言葉や激励の言葉で文章を締めくくることが一般的です。
ただし、過度に感情的な表現は避けるべきです。遺族が読む手紙なので、遺族に対する心遣いがあるような文面を心がけましょう。
なお、「追伸」は忌み言葉にあたるため、お悔やみの手紙では用いないようにします。
お悔やみの手紙に用いる様式
ここでは、お悔やみの手紙を書く用紙や筆記用具を選ぶポイントをご紹介します。
用紙・便箋
お悔やみの手紙に用いる紙は、基本的に白色を選ぶのがマナーです。弔意を表現するには罫線のない白無地の紙が最も無難であり、遺族に不快感を与える可能性も低いと言えます。
白以外を使いたい場合は、薄いグレーか薄いブルーなどを選ぶようにすると良いでしょう。
基本的には便箋と封筒を用いますが、「不幸が重ならないように」という意味から、封筒は一重のものを用い、便箋は一枚に収まるようにします。
ただし、後述するように香典を同封する場合は封筒の中に封筒が入る形になります。重ね封筒や便箋に関しては、「できるだけ気を付ける」という認識で良いでしょう。
筆記用具
黒のボールペン、もしくは万年筆を用いるのが、お悔やみの手紙を書く時のマナーです。地域の風習によっては筆と薄墨で書く場合もあるようですが、その場合は代わりとして筆ペンやグレーのボールペンを用いることもできます。
お悔やみの手紙を薄墨で書くのは悲しみを表現するという意図がありますが、この風習は筆が主な筆記具となっていた時代にできたものです。
そのため、手近に筆がない場合は無理にこだわらず、ボールペンや万年筆などを使っても問題ありません。
香典を同封する際のポイント
お悔やみの手紙は参列できない旨を伝えるものであり、香典を同封して送ることもできます。送る時期が四十九日より前なら「御霊前」、後であれば「御仏前」と封筒に記して送りましょう。
ただし、故人や遺族の宗派が浄土真宗であるか、把握できない場合には「御香典」と記しておくのが無難です。
香典を同封する場合は、手紙の文面に香典を包んだことを手短に記しておくと分かりやすいでしょう。香典返しを不要とする時は、「香典返しについてはご辞退させていただきたくお願い申します」と文面に記すようにします。
現金書留封筒の料金
香典と手紙を同封する場合は、包むお金を不祝儀袋に入れたのち、手紙とともに現金書留封筒に同封します。現金書留は郵便局からしか送ることができないため、必ず郵便局から送りましょう。
なお、現金書留は通常の郵送料金に加えて430円の追加料金が必要です。包む額が1万円を超える場合、5,000円ごとに郵送料金が10円ずつ上がります。
なお、香典袋の大きさによっては定形外郵便になるので、50g以内は120円、51~100gは140円、101~150gは205円の料金が必要です。
熨斗袋の書き方
香典を包む熨斗袋は、先方の宗教によって適切な表書きが異なります。仏式は「御香典」か「御仏前」、神式は「御玉串料」、キリスト教のプロテスタントは「御花料」、カトリックは「御ミサ料」が適切です。
仏式に限って時期によって書くべき表書きが異なり、初七日までは「御香典」、四十九日からは「御仏前」となるため注意しましょう。
表書きを書いたら、袋の中央あたりに会葬者のフルネームを記します。親族が会葬者本人の代理で香典を出す場合は、名前の左下に小さく「内」という字を書きます。
複数人が連名で送るのであれば、記名する会葬者が3名までなら全員の名前を書きますが、4名以上になる場合は代表者をフルネームで書き、左下に「他〇名」と記す形でも問題ありません。
香典を包む熨斗袋には、表側に香典の金額と会葬者の住所氏名を書きましょう。金額を書く際は、「壱」、「弐」といった難しい漢数字か、アラビア数字を用いるのが一般的です。
まとめ
お悔やみの手紙が持つ意味合いや、書き始めから郵送までに押さえておくべきマナーを解説しました。遺族のことを考えると筆が進まないかもしれませんが、故人への悼みや遺族への励ましを綴った手紙を送るのは礼儀として必要なことです。
お悔やみの手紙はあまり書きたくないものですが、当記事で解説したマナーを知っておくと、遺族や故人への思いを正しく表現することができるでしょう。