忌引きとは
親族が亡くなり喪に服すことを「忌引き」と言います。喪に服すことを「忌服」と言い、昔は死を穢れとして扱っていたため、穢れが消えるまでの一定間、故人の死を悼み自宅に籠る期間がありました。
一方、企業で使われる「忌引き」は、一般的に「忌引き休暇」のことを指しています。忌引き休暇は喪に服すために取得するのではなく、葬儀に掛かる準備に充てるための休暇ですので、1週間前後の休暇となります。
なお、忌引き休暇は、労働基準法などの法令で定められているものではありません。そのため、企業によって忌引き休暇の有無、休暇の日数が変わってきます。
また、故人との関係や、喪主であるかどうかによっても取得できる日数は異なります。詳細は会社の就業規則を確認する必要があり、また取得する際は、申請書類の他に葬儀の案内状などの必要書類があるかも確認しておきましょう。
忌引き後の挨拶で大切なポイント
忌引き休暇の後は、休暇をいただいたことのお礼や、休暇中に迷惑を掛けたことへのお詫びを関係者に伝える必要があります。以下では挨拶の際の大切なポイントを3つご紹介します。
上司や同僚などへ挨拶を
忌引きで休むことは避けようのないことなので、必要以上に申し訳なく感じる必要はありません。
しかし、忌引き休暇中、上司や同僚が自身の仕事を処理してくれたことについて、感謝を伝えないのは失礼にあたります。職場に復帰した際は、職場の関係者への挨拶を欠かさずに行いましょう。
直属の上司へは、葬儀が無事行われたことを報告した上で、急な休みをいただいたことのお詫びとお礼を伝えます。同僚など仕事を分担してくれた方には、時間があれば相手の席まで行って直接お礼を伝えると丁寧です。
香典返しを忘れずに
香典返しは、香典をいただいたことや、葬儀に来てくださったことへの感謝の気持ちを表すために渡すものです。職場の方から香典を貰った場合も、香典返しを用意しましょう。
休暇明け最初の出勤時、お礼の言葉とともに直接手渡しするのがマナーです。なお、香典返しは手元に残らない「消え物」が望ましいとされていますが、最近は商品を選べるカタログギフトが利用されることも多くなっています。
香典返しの金額は、1万円いただいた場合は5千円程度をお返しするといった形で、いただいた金額の半額程度を返します。高額の香典を頂いた場合は、扶助の気持ちからいただいたものであるため、金額にはこだわりすぎず、3分の1から4分の1程度のものを香典返しとして渡しましょう。
なお、香典返しを辞退される方もいますが、そのような場合も基本的にはお礼の言葉とともに香典返しを渡します。
ただし、例えば子どもが小さいのに配偶者が亡くなってしまった場合など、遺族の状況を思いやって香典返しの辞退を申し出ていることもあるので、状況に応じて辞退の申し出を受け入れ、別途お礼状を送るようにしましょう。
菓子折りもあると尚良い
忌引き後の菓子折りは必ずしも必要ではありませんが、菓子折りがあるとより感謝の気持ちを伝えることができます。社風にもよりますが、菓子折りがあるとお礼の挨拶がしやすく、スムーズに職場に復帰しやすくなります。
菓子折りは高価なものである必要はありません。
日持ちするものを選び、個別にラッピングされたものを用意しましょう。また、色見やデザインは落ち着いたものを選び、和菓子を使用する場合は、鶴や亀などお祝い事をイメージさせるようなものは避けましょう。
忌引き後の挨拶例文
忌引き後の挨拶で何を話せばよいか分からない方もいらっしゃるでしょう。
ここでは挨拶の例文をいくつかご紹介します。例文を参考にして、感謝の気持ちを伝えられるようにしましょう。
朝礼で挨拶をする場合
「この度は〇〇の葬儀に際し、皆様からたくさんの弔電と供花を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。皆様のお陰で、無事に葬儀を終えることができまして、深く感謝しております。
多忙な時期に休暇を頂きまして、皆様には多大なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫びします。また私の休暇中に代わって業務をこなしていただいたことに深く感謝いたします。
本日より、精一杯また頑張りますのでよろしくお願いいたします。」
上司や同僚などに挨拶する場合
「この度は〇〇の葬儀に際し、ご香典を賜りましてありがとうございました。また、急な忌引きに対応してくださった〇〇部長と、仕事を代わりにやっていただいた〇〇さんに感謝申し上げます。本日から業務に戻りますので、よろしくお願いいたします。」
まとめ
忌引き休暇を取ることは、回避のしようがなく、仕方のないことです。しかし、休暇を当たり前のことと思わず、仕事を代行してくれた上司や同僚にはしっかりとお礼の気持ちを伝える必要があります。
社内の人間関係を円滑にするためにも、忌引き明けは丁寧な挨拶を心掛けましょう。本稿の忌引き後の挨拶のポイントと例文を参考に、適切な挨拶を行い、失礼のないようにしてくださいね。