無宗教葬儀とは
近年では葬儀が無宗教葬儀で行われた割合はおよそ二割と仏式に次いで二番目に多いと言われています。
無宗教葬儀が増えていきている背景には、宗教的価値観が薄れてきていることに加え、シンプルなお葬式にして葬儀費用を安く抑えたい、故人を家族ならではの方法で見送りたいといった理由があるようです。
無宗教葬儀は特定の宗教・宗派の葬儀儀式に則らない形式の葬儀です。勘違いされることもありますが、無宗教葬儀は「特定の宗教を信仰していない人・無神論者が行う葬儀」という意味ではありません。仏教やキリスト教の信者があえて無宗教葬儀を行うこともあります。
さらには、葬儀内容の一部のみを宗教的儀式にすることも可能です。例えば、仏教的に読経・焼香を行った後に、斎場内で故人が生前好きだったロックミュージックをかけるという構成にすることができます。
葬儀の一部を仏教式儀式で行うことで、古いしきたりや習慣を重んじる年配の方への配慮を示すこともできます。
仏教式で仏前に捧げられる抹香の代わりとして、無宗教葬儀では祭壇にお花を捧げることが一般的です。
さらに無宗教葬儀では、お花と共に、故人が生前好きだった趣味にまつわる物や、好きな食べ物が捧げられることも多いようです。
無宗教葬儀の行い方
では、無宗教葬儀でお葬式を行う場合はどのように準備を進めればよいのでしょうか?大切な故人とのお別れを素敵な思い出にする重要なポイントは葬儀社との打ち合わせです。
以下で準備の流れを解説します。
葬儀社へ日程と流れを相談する
無宗教葬儀に限らず、頼りになるのが葬儀社です。葬儀社の寝台車で遺体を搬送し、葬儀を行い、霊柩車で火葬場まで向うという流れは一般的なお葬式と変わりません。
仏式の葬儀と異なるのは、葬儀の内容を考え、葬儀までに日程と流れの相談が必要であるという点です。担当者と十分に話し合って思い通りの葬儀プランを考えましょう。
必要な物品の準備
葬儀の内容によっては、故人の思い出の品々を葬儀会場内の祭壇や周辺に飾りつけます。プログラム内で故人のビデオやスライドを作成して上映する場合、写真やデータを集めて葬儀社に預けます。
また、棺内の副葬品として故人の思い出の品々を入れる場合、火葬してはいけない物品が含まれていないか確認が必要です。
招待状の手配・会食の準備
無宗教葬儀の案内は招待状を使って行います。招待状には主に二つ折りのカードが使われます。葬儀後に会食を行う場合には、招待状で会食の会費が必要である旨を明記しましょう。
無宗教葬儀の会食は、葬儀会場やホテルのレストランなどで故人との別れを偲ぶ食事会となります。
会食メニューや食事会場を飾り付ける故人の品々も葬儀社と相談して準備を進めます。
無宗教葬儀に関する注意点
無宗教葬儀のメリットにばかり目を向け、安易に無宗教葬儀を選択してしまうと、思わぬトラブルに直面してしまう恐れがあります。
無宗教葬儀を行う際は、以下のような点に注意しましょう。
葬儀屋の選び方
無宗教葬儀が故人らしい・家族らしい葬儀になるかどうかは、葬儀社のプランニング能力次第です。無宗教葬儀は一般的な葬儀よりも遺族側が準備することが多いので、喪主・親族の心身への負担が増す場合があります。
葬儀社を選ぶ際には、無宗教葬儀のプランニング能力はもちろんのこと、喪主・親族への配慮ができるスタッフのいる葬儀社を選ぶようにしましょう。
内容によっては費用が掛かる
無宗教葬儀は葬儀の後に四十九日、一周忌などの法要を行わないことで、仏式と比較したときに安価になる葬式として紹介されます。
しかし、法要を行わない代わりに祭壇を豪華にしたり、会食のメニューをこだわり過ぎたりすると、予測していた金額よりも費用が増えてしまう可能性があります。
お墓がある場合は要注意
葬儀を無宗教葬儀で行ったために、お寺のお墓に遺骨を納めることを拒否されることがあります。宗教に従った葬儀を執り行なないとお墓に入れることができないという考えを持つ人がいるためです。
無宗教葬儀を行う場合には、お寺とお墓と遺骨について事前に相談をしておきましょう。お墓にいれることができない場合には、遺骨の管理について考えなければなりません。
まとめ
年々増加している無宗教葬儀についてご紹介しました。自由に内容を決めることができる葬儀ですが、故人を見送る儀式であるという点においては宗教的葬儀と変わりません。
葬儀社としっかりと打ち合わせを行い、故人と遺族が満足できるお別れにしましょう。