偲ぶ会とは
故人を偲んで別れを告げるために開催されるセレモニーを「偲ぶ会」と呼びます。
故人が芸能人やスポーツ選手といった有名人の場合、もしくは一般人であっても趣味などの活動が活発な方の場合に、葬儀とは別に偲ぶ会やお別れの会を開催することが多くあります。
家族や親戚を中心に葬儀を行った後で日を改めて開催され、故人へ感謝の意を伝えたり、参列者が気持ちの整理をしたりするのが目的です。会食の場が設けられることもあり、他の弔問者と共に故人の思い出に浸り弔意を示します。
偲ぶ会の流れ
偲ぶ会に参加する際は、事前に流れを把握しておくと安心です。ここでは一般的な偲ぶ会の流れについてご紹介します。
受付開始
会が始まる1時間前頃から受付が開始します。来賓によっては到着時間が異なる場合があるため、受付を担当する際はスケジュールをきちんと確認しておく必要があります。
受付係と案内係で引継ぎを行うなど、上手く連携して失礼のない対応を心がけましょう。
開会の辞
会の冒頭では開会の辞があります。司会の進行に従い、喪主や親族の代表者が務めるのが一般的です。
葬儀に参列できなかった方のために当日の様子が伝えられたり、偲ぶ会を開催するに至った経緯やこの会に対する思いなどが語られたりします。
故人の紹介
続いて故人の紹介が行われます。会社関係者や学生時代の友人など、来賓と故人との関係は様々であるため、人によっては故人の略歴をよく知らない場合もあります。
そのため、会の冒頭で故人が逝去するまでの略歴が簡単に紹介されます。生前の様子をよく伝えるため、文字や言葉だけではなく、スライドや写真を活用して紹介されるのが一般的です。
黙祷
故人の紹介が終わったら、偲ぶ会の参加者全員で黙祷を行います。黙祷中は心の中の雑念をなくして、故人のことだけを思い静かに祈りましょう。
献杯と会食
司会者の挨拶や案内でまずは献杯が行われます。会食の前に故人へ敬意を表することが目的です。献杯が終わった後は会食が開始されます。
故人との昔話やエピソードを語りながら会食を楽しみましょう。会食の際は、改めてスライドショーで故人が紹介されたり、故人に縁の深い曲が演奏されたりします。
閉式の辞
最後に偲ぶ会の代表者が閉式の辞を行います。来賓の方々への感謝や、故人の気持ちを代弁した言葉で会が締めくくられます。
写真撮影
解散の前に、偲ぶ会の参加者全員で写真を撮ります。
祭壇に飾られた故人の遺影とそれを持った親族の方を囲み、大勢で写真撮影が行われます。
閉会
最後に手土産として粗品が配られるケースもあります。
偲ぶ会の服装
偲ぶ会は、喪服ではなく平服で参加するのが一般的です。ただし、平服と言っても普段着とは異なります。平服とは略喪服のことで、準喪服よりも格の低い喪服を指します。
男性の場合であれば地味な色のダークスーツ、女性であれば地味な色のスーツやワンピースなどが該当します。以下では男性と女性に分けて詳しく解説します。
男性編
男性の平服(準喪服)は以下のとおりです。
・スーツ:ダークスーツを着用します。色は黒や濃紺など地味な色合いのものを選びましょう。
・シャツ:白無地のワイシャツ一択です。柄や色が付いているシャツは避けましょう。
・ネクタイ:着用するのがマナーです。色は黒やダークグレーなどの暗い色で派手なものは避けましょう。
・靴、小物類:靴や腕時計、ベルトは、黒色で光沢感や金具のないシンプルなデザインのものを選びます。殺生を連想させる皮素材が使用されたベルトや腕時計は着用を控えましょう。
女性編
続いて女性の平服(準喪服)をご紹介します。
・服装:スーツもしくはワンピース、アンサンブルを着用します。色は黒や紺、グレーなど地味な色を選びましょう。なお、上記のようなスーツなどを用意できない場合は、黒色で無地のブラウスにスカートを合わせても問題ありません。
・アクセサリー:真珠やブラックオニキスを使用したネックレスやイヤリングを身に着けます。偲ぶ会では通常の葬儀ほど神経質に考える必要はなく、シンプルなデザインの物であれば身に着けても構いません。
・ストッキング:極力素肌を見せないようにするのが葬儀の場での暗黙のルールです。偲ぶ会においてもストッキングを着用しましょう。色は光沢のない黒いものが適しています。
・靴、バッグ:光沢感や金具のないシンプルなデザインの黒色を選びましょう。靴はヒールが高いものは避け、3~5cm程度のものを選びます。
偲ぶ会の参加費用
偲ぶ会でもお通夜や葬儀と同様に香典が必要です。香典の相場は1万円~2万円ほどですが、偲ぶ会の場合は会費制だったり香典を辞退されたりすることもあります。
以下ではそれぞれの対応方法について解説します。
会費制の場合
会費制の場合は、案内状に「会費制」だと明記された上で金額も記載されています。主催者の意向に従うのが礼儀なので、記載された金額以上に多くお金を包む必要はありません。
あくまでも指定された金額を持参しましょう。
香典辞退の場合
主催者が香典を辞退したいと考えている場合も、あらかじめ案内状にその旨が明記されています。どうしても何らかの形で弔意を示したい場合は、香典を持参するのではなく弔電や供花を贈りましょう。
会費制の場合と同じですが、主催者の意向を尊重するのが何より重要です。間違っても香典を無理やり押し付けることはせず、礼儀ある対応を心掛けましょう。
まとめ
本稿では偲ぶ会の流れやマナーについて詳しくご紹介しました。会社関係者や大好きだったアーティストの突然の逝去など、偲ぶ会に参加する機会は誰にでも訪れる可能性があります。
急に参加を求められた際に動揺しないためにも、偲ぶ会の基本は押さえておきたいものです。
今回ご紹介した偲ぶ会の流れや服装のポイントなどを正しく理解して、故人や遺族に失礼のないように弔意を表しましょう。