「会葬」と混同しがちな語彙4つ
「会葬」は、案内状や御礼状、喪主のスピーチや弔事でも用いられる言葉なので、類語との違いを明確にしておきましょう。
以下では、混同しがちな4つの単語、「会葬」、「弔問」、「参列」、「列席」の違いを解説します。
そもそも「会葬」とは
辞書によると、「会葬」とは「葬儀に参列して、弔意を示すこと」です。
文字通り「会い、そして葬(ほうむ)る」ことを指し、会葬する人のことを会葬者と呼びます。
「火葬」は火で葬り、「土葬」は土で葬り、会葬は会うことで葬るという、すなわちお悔みの行動です。
遺族からすれば「会葬いただく」、参列者からすれば「会葬する」のが葬儀です。
葬儀における喪主の挨拶では「本日はご会葬いただきまして…」と挨拶します。
弔問
「弔問」とは故人の遺族を訪れお悔みを述べることです。
「会葬」は「葬儀」の「葬」の字が入っているとおり、あくまで葬儀に参加することを指します。通夜は葬儀ではないため「通夜に会葬する」という言い回しは間違いで、「通夜に弔問する」が正しい用法となります。
遺族を訪れお悔みを述べることは葬儀でもなされることなので、葬儀に来てくれた方も「弔問客」と呼ぶことができますが、葬儀会社は「通夜=弔問客」「葬儀=会葬者」と明確に使い分けています。
参列
「参列」とは式や行事などに参加し、列席することです。葬儀に限らず式典などのおめでたい場でも使います。
「通夜の参列者」も「葬儀の参列者」も文法的には正しい用法です。
列席
「列席」とはその席に連なること、出席することです。式や会合に参加する場合も使われるので、「通夜に列席する」「葬儀に列席する」「告別式に列席する」も文法的には間違いではありません。
それでも定型文では「会葬」を使おう
「会葬」「弔問」「参列」「列席」と、混同しやすい単語を見てきましたが、御礼状での文面や喪主の挨拶では、葬儀に関しては「会葬」で統一しましょう。
葬儀の挨拶では「本日はご参列いただきまして…」と述べるより「ご会葬いただきまして…」の方がやはり相応しく、来ていただいた方々も、ただ訪ねたのではなくお悔みに来たのだ、と認識してもらっている言葉使いになります。
人の死に際しては、自由な言葉よりも長年繰り返されてきた定型語のほうが適切であり、喪主としての品格も保てるものです。
「会葬」の用法例
「会葬」は「葬儀に参列して、弔意を示すこと」なので、会葬してくれた方に対しては「御」の接頭語が付き「御会葬」と用います。
会葬者に挨拶するときは「会葬ありがとうございます」ではなく「御会葬ありがとうございます」と丁寧語で述べましょう。
喪主のスピーチなどで大勢の会葬者を前にお礼を述べる際は、「御会葬いただきまして」となります。
さらに謙譲語にすれば「御会葬賜りまして」となります。「いただき」と「賜り」は、どちらでも構いません。
謙譲語を多用してへりくだり過ぎると言われた方も恐縮することがあるため、文章全体のバランスを見て仰々しくならないように調節しましょう。
会葬御礼品
葬儀に来てくれた会葬者に対して渡す品を「会葬返礼品」と言います。相場としては300円~1,000円程度の小さなもので、悲しみを洗い流すという意味で多くの場合バス用品が選ばれます。
洗剤、石鹸、タオル、ハンカチなど、あるいはお清めの塩と礼状だけでも、会葬に来ていただいた方全員にお渡しします。
これに対し、香典返しは香典をいただいた方だけに、葬儀が終わってから四十九日までの間に3分の1~半額程度の返礼をします。両者は明確に異なるため注意しましょう。
会葬返礼品には御礼状を添えることが一般的です。昨今では、御礼状の表紙には「感謝のことば」「お別れのことば」など自由な文言が印刷されることもありますが、目新しい言葉を使わず「御会葬御礼」と記してあると引き締まるでしょう。
ただし昨今は会葬返礼品と香典返しを一緒にし、一家族に一つずつ渡す「即日返し」が主流になりつつあります。地域のしきたりなどを確認して、会葬者に失礼のないよう対応したいものです。以下では会葬礼状の文例をご紹介します。
御会葬御礼
拝啓 亡父〇〇儀 葬儀に際しましては
ご多忙中の折り御会葬を賜りご芳情のほど誠に有難く厚くお礼申し上げます
早速拝趨の上御礼申し上げるべきところ
略儀ながら書中を持ちましてお礼申し上げます
敬具
令和○○年○○月○○日
住所
喪主氏名
親族一同
まとめ
「会葬」の言葉の意味と類語との違い、用法を解説しました。
葬儀に来ていただいた方々に正式な言葉で挨拶やお礼ができるよう、また会葬する側の立場からも、正しく使い分けたいものです。