お通夜に必要な持ち物
お通夜に必要な持ち物について、項目ごとに詳細をご紹介します。
喪服
お通夜に参列する際にはできるだけ喪服を用意します。
故人の死を偲ぶ気持ちを表すためにも、可能な限り喪服で参列することが望ましいですが、お通夜は急な訃報によって駆けつけることが多いため、落ち着いた色であれば平服でも問題ありません。
以前は、お通夜に喪服を着ていくと事前に不幸があることを予期していたと捉えられるため、縁起が良くないと考えることもありました。
ブラックスーツやブラックフォーマルのような略式喪服ならお通夜でも失礼には当たらないため、1着用意しておくと良いでしょう。
香典
お通夜に参列する上で欠かせないのが香典です。
香典は「死者と接触すると穢れる」という思想が強かった時代にできた風習です。
故人とその親族が他の人々と接触することによって穢れを広めることを防ぐために、故人の家族や親族の食料を予め用意しておいたのが香典の始まりです。
そのため、古くは「香奠」と書き供え物という意味の方が強く、現代のように金銭ではなく米俵などの食料を渡すのが通例でした。
香典における現代の捉え方は、亡くなった方の冥福を祈るとともに、遺族が困らないように金銭を渡すという考え方に基づいています。
香典の金額は故人との関係性や付き合い、年齢によって異なります。会社の同僚や友人・知人の場合、20代は3,000円〜5,000円程度、30代以上は10,000円〜50,000円程度が一般的な相場です。
なお、香典は高額を渡せば良いというものではありません。
あまりにも高額な香典を渡してしまうと、遺族が香典の金額に応じてお返しをする「香典返し」の際に負担になるため避けましょう。
袱紗
袱紗(ふくさ)とは、香典や祝儀として渡す金封や物を持ち運ぶ際に使う布のことです。
金封をむきだしで持参するのは失礼に当たるため、冠婚葬祭では袱紗に包んで持参します。
お通夜の際も香典袋を袱紗に包んで、金封をあからさまに持ち歩くことがないようにしましょう。
多くの袱紗は、無地や吉祥柄などの刺繍を施した絹や縮緬で、一重または表裏二重に作られています。
香典袋を包む際は左が上になるように包みます。慶事の際は右が上になるように包むのがマナーなので注意しましょう。
数珠
お通夜には数珠を持って行きます。数珠は仏を念ずる際に用いる珠であるという意味から「念珠(ねんじゅ)」とも呼ばれます。
数珠は故人の宗派と異なるものを持参すると失礼に当たるので注意が必要です。
可能であれば、お通夜に参列する前に故人の宗派を確認しておくと良いでしょう。
すぐに準備することが難しい場合は、手持ちの数珠を持参しても問題ありません。一番避けるべきは数珠を持たずに参列することです。
事前に注意が必要な持ち物
お通夜の基本的な持ち物が分かったところで、参列するにあたって事前に特に注意が必要な持ち物について理解しておきましょう。
ここでは、お通夜に持参することを避けたいものや、取り扱いに注意しないと式の進行を妨げてしまう物について解説します。
かしこまった場所での使い方をおさらい「スマートフォン」
お通夜の場面に限らず、スマートフォンの取り扱いには気を付ける必要があります。
お通夜は厳かに執り行なわれる儀式であるため、万が一大きな着信音が鳴ってしまうと式の進行の妨げとなってしまいます。
緊急時ではない限りマナーモードに設定し、葬儀の最中は通話や操作を控えましょう。
荷物は最小限に「カバン」
お通夜に持参するカバンも黒いものにします。
グレーや紺も落ち着いた色とはいえお通夜には適していません。
お通夜では喪に服していることを示すためにも、よほどの事情がない限りは黒を選びましょう。
なお、黒であればどのようなカバンでも良いというわけではありません。女性なら小さめの黒のハンドバッグが好ましいでしょう。
材質は金具や光沢のないものが適しており、布製のカバンが最も適しています。革製のカバンは避けましょう。
男性の場合はお通夜にはカバンは持参せずに参列するのが一般的です。香典などの持参品は上着のポケットに収めるなどの工夫をしましょう。
白い無地の綿のものをー「ハンカチ」
お通夜に参列するハンカチにもマナーがあります。
白装束を身にまとう慣習が根強かった歴史から、お通夜には白いハンカチを持参するのが最も正式なマナーだとされています。
ただし、白か黒の無地を基調としていれば、控えめな柄やレースがあしらわれていても問題ありません。
一方で、原色の赤、緑、ピンクなどのハンカチはお通夜の場面ではマナー違反に当たるため、明るい色や派手なデザインのハンカチは避けましょう。また、お通夜の場面で使うハンカチとしておすすめの素材は綿や麻、ポリエステルなどです。
中でも綿は吸水性に優れているためおすすめです。注意したいのはタオル生地のハンカチです。
タオル生地は他の素材に比べて見た目がややカジュアルであるためお通夜という場にはあまり適していません。
そうは言っても特に夏場は冠婚葬祭用としてタオル生地のハンカチが量販店などで売られているため、実際にお通夜に持参している人もいます。気になる方は綿のハンカチとタオル生地のハンカチをあわせて2枚持参すると良いでしょう。
どうしてもなければコンビニのビニル傘が無難「傘」
傘には様々な色や形状のものがありますが、お通夜に持参する場合は傘にも配慮する必要があります。
お通夜用の傘はないためわざわざ購入する必要はありませんが、大きな刺繍やロゴなどの模様のないシンプルな黒い傘が最も適しています。
黒い傘を持っていない場合は、グレーや紺などのシンプルな傘を選ぶようにしましょう。
黒やグレー、紺などの色であれば、折り畳み傘もマナー違反には当たりません。また、コンビニなどで売られているビニール傘を持参するのも問題ありません。
赤や紫などの派手な色や個性的な形状でなければ、手持ちの傘を持参しましょう。
ネイルをしている女性は必見「手袋」
お通夜に参列する際は手袋をしていても問題ありません。
特に華やかなデザインのネイルアートをしている女性は、急な訃報でお通夜に参列するにあたりネイルアートを落としてくる時間がない場合もあるでしょう。
そのような場合は、配慮として手袋をするのも一つの手です。手袋を付けて会場に向かい、焼香をあげる際は外します。
手袋をつけたままでは上手く抹香をつまめず、また手袋の布地に抹香が付着して周りを汚してしまうこともあります。状況に合わせて手袋を着脱するよう心がけ、色も可能であれば黒を選ぶのが無難です。
華美な物は避けた方が無難「時計」
男女ともに、洋装・和装問わずお通夜の際は腕時計を外しておくと良いでしょう。どうしても付けたい場合はできるだけシンプルなものを選び、可能であれば式が始まる前にカバンやポケットに入れましょう。お通夜などのお葬式の際は、基本的に光るものはマナー違反に当たります。そのため、時計の他にも、男性の場合は金属製のバックルの付いたベルトも避けましょう。
アクセサリー
指輪は結婚指輪以外のものは外します。結婚指輪でも、色がゴールドだったりデザインが華やかだったりする場合は外した方が良いでしょう。ダイヤが付いているものは、石の部分を手の内側に回して付ければ問題ありません。
ネックレスは白か黒の真珠を付けるのがマナーです。二連や三連のネックレスは「不幸が重なる」ことを連想させるため着用を避け、必ず一連のものにします。また、粒が大きすぎるものや華美なものも避ける必要があります。
イヤリングやピアスを付ける場合は、一粒タイプの真珠を選びます。コットンパールは正式な場には相応しくないため控えましょう。
ヘアアクセサリーは黒や茶色の目立たないゴムでできたものを選びます。結べる長さの髪であれば、低い位置ですっきりまとめておくと良いでしょう。
お通夜の手伝いをする場合
故人と近しい間柄の人はお通夜の手伝いを頼まれることがあるかもしれません。
遺族はお通夜の事前準備で忙しいため、特に親戚は受付をお願いされることが多くあります。
受付の対応としては、弔問客に記帳を促すことや、香典や供物、弔電などの受け取り、フロアの案内などが考えられます。
お通夜の開始時刻や式場の配置などをあらかじめ覚えておき、着替える場所の有無やトイレの場所も把握しておくと良いでしょう。
受付の他にも、お通夜では接待や配膳の手伝いもあります。
以下では何かしらの手伝いを頼まれたときに、持参していると便利な物をご紹介します。
ストッキング
女性の場合は予備のストッキングを持参しておくと便利です。
お通夜の手伝いをしている途中でストッキングが伝線してしまう可能性もあります。電線したストッキングを履き続けるとあまり良い印象はないですよね。
伝線してしまった場合はすぐに履き替えましょう。
喪主挨拶
僧侶が退場した後は、喪主による通夜の挨拶が行われて通夜式が閉式となります。
閉式後に通夜ぶるまいがある地域は次にご紹介する通夜ぶるまいが始まります。
通夜ぶるまいがある地域では、式場内の準備が整い次第、通夜ぶるまいが始まります。
仏式では忌明けまで肉や魚を避けるため、かつては通夜ぶるまいの席においても精進料理が出されていましたが、近年では鯛や海老など祝膳の食材を避け、お寿司やサンドイッチなどを大皿に盛って出される他、お清めの意味でお酒も用意されます。
遺族が僧侶や弔問客に感謝の意を伝え、その場にいる皆で故人の生前の思い出などを語りながら故人を偲びます。
かつてお通夜は夜通し行われていたため、通夜ぶるまいの宴も区切りなく続いたものでした。
しかし近年では1~2時間ほどで散会し終了となるのが一般的です。
お通夜の執り行われる時間帯
冒頭でも少し触れましたが、本来の意味での通夜とは、遺族が故人の枕元でろうそくと線香の火を絶やさずにお棺に付き添い死者を守るというものでした。
しかし時代の変化とともに通夜の形も変わってきています。
現代においては、仕事の都合などで昼間の告別式には参列せず、通夜のみに訪れる弔問客も多くなってきました。
そうした理由から、午後6~7時頃から約1~2時間で終わる「半通夜」が一般的となっています。
しかし本来の意味での通夜が全く行われなくなったわけではなく、ご遺族によっては古くからの習わしに従い、ろうそくと線香の火を絶やさないようにする「棺守り」または「夜伽」とよばれる儀式を行う家もあります。
その場合は、お通夜の執り行われる時間帯は翌日の朝までとなります。
お通夜に参列するときの留意点
最後に、お通夜に参列する際の留意点を解説します。お通夜は故人と過ごす最後の夜です。
遅れてでも駆けつけるようにすること、また身だしなみにも気をつけることが重要です。
以下で詳しくご紹介します。
お通夜は遅れても出席するようにする
仕事などの事情でどうしても通夜に間に合わないという場合であっても、お通夜開始から30分から1時間程度の遅れであれば参列するようにしましょう。
葬儀や告別式の時間に遅刻することは基本的にはあってはならないことですが、通夜の場合は「遅れてでも駆けつける」ことがマナーです。
遅れる場合はできれば事前に連絡をしたいところですが、連絡する場合は多忙な遺族に直接するのではなく葬儀が行われている会館や葬儀社などに相談すると良いでしょう。
なお、遅れてしまった理由は細かく説明する必要はありません。
通夜式の式場に入ったら、改めて喪主、ご遺族の方々に遅れたことのお詫びと、お焼香をさせていただきたい、ということをお伝えしましょう。
式場に入る時にはまず一礼し、ご遺族の方々の前でも一礼をして挨拶をします。
身なりを整える【服装】
お通夜は自分が目立ったり存在をアピールしたりする場ではなく、故人を偲ぶ場、ご遺族を慰める場であるということを忘れないようにしましょう。
ご遺族は不幸の中にいるため、自分も喪に服す気持ちで慎ましく振る舞いましょう。
特に身なりには気をつけるようにしましょう。服装は黒い準礼装または略礼装で、明るい色の小物や金属のネクタイピンなどは付けないようにします。
女性の場合は、ネックレスをつけるならば一連の真珠のものを選びます。
指輪は結婚指輪以外のものは身につけません。
まとめ
お通夜と告別式の参列者の違い、お通夜の流れと行われる時間帯、参列する際の留意点などについてご紹介しました。
この記事で繰り返しお伝えしているとおり、お通夜は「故人と過ごす最後の一夜」です。
お通夜を通して故人の冥福を祈りつつ、故人を送り出すための心の準備をしましょう。