セレモニーホールとは
葬儀を行う目的で建てられた施設をセレモニーホールといいます。
葬儀会館、葬儀式場、葬祭場という名称が付いていることもあります。
遺族にとっては出棺前に故人を見届ける場所であり、故人にとっては火葬前における最後の見送りを受ける場所といえます。
葬儀を実施できるホールと、遺体を低温保存できる安置室を備えているのが一般的です。
国内で多く行われる葬式の種類としては、仏式、神式、キリスト教式がありますが、セレモニーホールによってはいずれの宗派にも対応した葬儀を執り行うことが可能です。
20世紀後半には大規模な各種設備を備えたホールが多く建築されましたが、現代では家族葬や小規模な葬儀に対応したコンパクトなセレモニーホールが増えてきています。
セレモニーホールと斎場の違い
セレモニーホールと斎場は度々似たような施設として扱われますが、厳密には異なります。
セレモニーホールは火葬設備を持たず、お通夜、葬儀、告別式といった葬儀関係の儀礼を主に実施する施設です。葬礼以外にも、法事全般を執り行う場でもあります。
これに対して斎場は、葬儀と火葬を実施できる設備を持った施設です。
具体的には、火葬炉や霊安室、遺体を安置する専用の冷蔵庫などが備えられています。
大規模な斎場になると、葬儀から告別式、会食や引き出物を手配するところまで対応可能です。
斎場はもともと神道の儀式に用いる場所ですが、現在は宗派にこだわらないケースが一般的です。
実際に、斎場やセレモニーホールを名乗る上で厳密な規定はありません。
つまり、火葬施設がなくても斎場と呼ばれるケースもあり得ます。
定義に関係なく業者が自称しているケースもあるので、選ぶ側はきちんと調べる必要があります。
セレモニーホールの種類
セレモニーホールには、大きく分けると公営と民営の2種類があります。
ここではそれぞれの特徴をご紹介します。
民営のセレモニーホール
民営のセレモニーホールは、宗教法人もしくは葬儀社が運営していることが一般的です。
施設数が多いので、予約が取りやすく、駅から近いといったメリットがあります。
遺族向けに宿泊施設を整えていたり、故人を安置する専用スペースを備えていたりする施設も多く、大規模な葬儀でも実施可能です。
葬儀社が所有している場合は、基本的に葬儀から告別式までを同じ業者へ依頼することが前提となります。
会場の使い方を熟知した業者が応対してくれるので、独特な演出や段取りでも実施しやすいでしょう。
その他の事業者が運営している場合は、民営の中でも特に交通アクセスの良さや充実した設備を特徴としているセレモニーホールが多い傾向にあります。
民営の場合、公営施設に比べると平均的な利用料金は高いので注意しましょう。
葬儀内容や参列する人数などで左右されますが、大体50万円から200万円ほどが民営セレモニーホールの相場です。
会葬者が100名単位になる大規模な葬儀だと、費用が200万円を越える場合もあります。
小規模な葬儀であれば相場より安く抑えることも可能です。
公営のセレモニーホール
自治体が運営者であるセレモニーホールは、利用料金が手頃である場合が多く、東京都でも160万円ほどでしっかりとしたお葬式を実施できます。
近年一般化してきた日帰り葬儀であれば、40万円ほどで実施できる所もあるようです。
また、追加費用は必要ですが、会食や飲み物、弔電に対する御礼状や返礼品などをホール側で用意してくれるところもあります。
また、火葬設備と葬儀用施設が併設されている所が多いので、参列者が多忙である場合や分かりやすさを優先したい場合にはおすすめです。
一方、住宅事情や風習などの問題から首都圏では利用希望者が集中しやすく、タイミングによっては10日ほど待つ場合もあるのでスケジュール調整には注意が必要です。
また、公営セレモニーホールは音楽葬や華やかな演出を伴った葬礼は原則として断られてしまいます。
加えて、喪主か故人がセレモニーホールを運営する自治体の出身者でないと利用を断られることがあります。
自治体によっては予約を受け付けてくれますが、市内出身者が利用するよりも大幅に高い料金を請求されることがほとんどです。
公営施設は市が税金で運営しているので、市外出身者は断られる場合もある、ということは理解しておきましょう。
実際に予約したい方は、色々と計画を立てる前にまずは問い合わせすることをお勧めします。
セレモニーホールの選び方
ここでは、セレモニーホールを選ぶときに注目するべきポイント、知っておくべき知識などを解説します。
利便性を重視する
全国各地から参列者が集まる場合は、セレモニーホールの駐車設備や駅からの距離などを確かめてから会場を選ぶようにしましょう。
喪主だけではなく、参列者にかかる負担も考えることが大切なポイントです。
逆に、参列者が自宅や近くの知人・友人のみである場合は、自宅近くにあるセレモニーホールを選ぶようにすると参列しやすく、スケジュール的にも余裕を持ってゆっくり過ごすことができます。
民営のセレモニーホールを利用する場合、提携している葬儀社が多いほど、アクセスや設備面、サービス対応などで人気がある施設が多い傾向があります。
特に都心部で利便性が高い所は人気が集中しやすいので、できるだけ早く準備を進めて希望の施設を抑えられるようにしましょう。
スタッフの対応で決める
葬儀をつつがなく運ぶには、セレモニーホールのスタッフとの連携が欠かせません。
設備や料金以外にも、信頼できるようなスタッフかどうかはホール選びで重要なポイントです。
スタッフの技量や性格に関しては、電話による問い合わせや対面で打ち合わせをする時にある程度推測できます。
遺族側の事情や考えを考慮してくれるか、同じ祭壇を複数回使いまわしていないかなどは、必ず確かめるようにしましょう。
葬儀の規模で選ぶ
基本的に、セレモニーホールは参列する人数が多いほど利用料金が高額になります。
葬儀がどの程度の規模になりそうかは、招待客に対して早めに連絡を取ることで把握できます。
参列者が20名ほどまでなら、家族葬に対応した小規模なセレモニーホールがおすすめです。
近年では身内で葬儀を執り行いたいというニーズに対応すべく、小規模なホールと宿泊設備を兼ね備えた施設が増えてきています。
葬儀から告別式までを同じセレモニーホールで実施したり、参列者が大勢になったりする場合は貸切型セレモニーホールがおすすめです。
通常は他の利用客との兼ね合いを考えながら行程を進めなければなりませんが、貸切であれば大規模な葬儀でもゆっくりと行うことができます。
施設の設備で決める
葬儀と火葬を同時に執り行いたい時や、通夜から葬儀を続けて実施したい場合などは、必要な設備を備えているセレモニーホールを選ぶ必要があります。
特に火葬設備を備えているセレモニーホールは多くないので、必ず事前に設備に関する確認や段取りの打ち合わせを行いましょう。
また、参列者が高齢である場合は、エレベーターやスロープといったバリアフリー設備が整っているセレモニーホールを選ぶようにしましょう。
火葬と葬儀で会場を変える場合は、移動手段として車両をチャーターしてくれるかも確認しておくとつつがなく葬礼を進められます。
参列者に掛ける負担をできるだけ少なくするように会場を選ぶのも重要なポイントです。
その他、無宗教葬儀を予定している場合は、無宗教葬儀に対応できると明記してあるセレモニーホールか、葬礼を含む儀礼全般に使える多目的ホールがおすすめです。
葬儀中に故人が好んだ音楽を流したい、あえて賑やかに送り出したいといった希望がある場合は、対応できる設備があるところを選びましょう。
セレモニーホールの探し方
ここでは、セレモニーホールを探す時に多く用いられる2つの方法とそれぞれのメリットをご紹介します。
インターネットで探す
セレモニーホールの多くはホームページを持っているので、インターネットから検索することで全国各地のセレモニーホールを探すことができます。
地域や立地条件などを指定して検索できるサービスも存在するので、関係者の都合や状況に合わせやすいメリットがあります。
地域によってはキリスト教式や神道式に対応したセレモニーホールが近場にないことも考えられますが、インターネットを使えばアクセスの良い場所に絞って探すことができます。
葬儀社に依頼する
葬儀を依頼していることが前提になりますが、葬儀社にセレモニーホール探しを依頼するとスムーズです。
公営セレモニーホールがすぐに利用できるかを確認してくれたり、自社で持っている場合は提携している所から適切な場所を紹介してくれたりします。
まとめ
セレモニーホールと斎場の違い、適切な会場を選ぶ上で必要な知識や注意点を解説しました。
料金や設備といった面はもちろん重要ですが、交通アクセスの良さやスタッフの質、人柄などは実はとても重要なポイントです。
喪主や参列者が少しでも心穏やかな時間を過ごせるよう、できるだけニーズに合ったセレモニーホールを見つけましょう。