仏壇の種類
仏壇とは、家の仏間やリビングなどに安置される厨子(ずし)や、寺院で仏像を立てる祭壇となる須弥壇(しゅみだん)のことを指します。
日本国内では位牌や香炉、火立てなどを飾った厨子が仏壇として広く認識されています。
一般家屋内に安置する仏壇には多様な種類がありますが、ここでは素材や構造などによる仏壇の種類を解説します。
唐木仏壇
黒檀や紫檀などを用いて製作された仏壇のことを、唐木仏壇と呼びます。
日本国内では明治時代頃から作られるようになったとされており、当初は外国産の木材を中国(唐)から輸入して仏壇を制作していたことが名称の由来とされます。
昔は黒檀をはじめとした唐木だけが原材料となっていましたが、近年では桑や欅、桜やクスノキといった日本産の木材を使った唐木仏壇も作られています。
金仏壇
金仏壇は、白木の外装を漆で塗装して、内装に金箔を貼りつけた仏壇のことです。主に浄土真宗で用いられる仏壇ですが、浄土真宗以外でも金仏壇を選ぶ人はいるようです。
浄土真宗内の宗派によっては外装にも金が用いられている場合があり、一口に金仏壇といっても多様なデザインがあるのが特徴です。
モダン仏壇
家具に用いるような木材で作られた仏壇を、モダン仏壇と呼びます。家のリビングや洋室に置いても家具のように馴染むという特徴があります。
モダン仏壇は伝統的な装飾や形状などを省いて作られたものが多く、手入れや掃除も比較的簡単です。
仏間がない家でも手軽に配置できる、現代の暮らし方に合った機能性重視の仏壇といえます。
上置き仏壇
上置き仏壇とは、下台が付属していない仏壇のことです。家の箪笥や棚に設置できるコンパクトさが特徴であり、大きな仏壇を置ける場所がない家に適しています。
下台が無い仏壇であれば、唐木、金、モダンのどれでも上置き仏壇と呼称されます。
コンパクトさを利点としているため、生活空間に馴染みやすいモダン型が一般的には人気です。
ミニ仏壇
ミニ仏壇は名の通り小さな仏壇のことです。上置き仏壇よりも小型であり、手荷物にできるようなサイズになっている製品も珍しくありません。
とはいえ、定義が厳格に決まっている訳ではなく、デザインや大きさなども仏具店によって変わる場合があるようです。
40㎝四方ほどだったり、高さが60㎝を超えるものだったりと、ミニ仏壇という名称は多様な品物に対して用いられています。
仏壇の価格の相場
仏壇の価格は、基本的に大きさや使っている素材、加工方法などで異なってきます。
それぞれの相場を知っておくことで、極端に安い不良品や高すぎる仏壇を買ってしまう可能性を減らすことができます。
唐木仏壇の相場
唐木仏壇は、70~100万円ほどが相場価格とされています。もちろん、使用する木材や仏壇の大きさ、組み上げ方によっても価格は異なります。
一つの木材だけで作る総無垢が最も高価ですが、加工の難しさやコストの高さといった理由から総無垢はほとんど制作されません。
最も一般的な唐木仏壇は、MDFという繊維板に木材を貼りつける形式で制作されます。「二方練り」や「三方練り」「ツキ板工法」など多様な工法がありますが、使用されている木材が多いほど高価になります。
安さを最優先する場合、MDFに木目シートを直接貼ったり、木目を印刷したりする「唐木調」という仏壇もあります。唐木調の小型な仏壇だと10万円未満の製品もあるようです。
金仏壇の相場
金仏壇は80~150万円ほどが相場とされています。
使用されている金箔や金粉の質や量に応じて価格が大きく変わるだけでなく、内装や漆塗りを行う職人の腕によっても価格が変動しやすいという特徴があります。
金仏壇に用いられる金箔は「五毛色」が最も高級で「四号色」が最も安価です。中には金箔のように見える代用品を貼った仏壇もあり、それなりに安価で購入できます。
なお、金粉をあしらった仏壇は特に高価になります。参考として、最も高価な類になると1,000万円以上になる金仏壇もあるようです。
モダン仏壇の相場
モダン仏壇は小型だと5~10万円、大型だと50万円ほどが相場とされています。
使用される素材や装飾、サイズなどがメーカーによって大きく異なることが特徴ですが、全体的にコンパクトさを重視した仏壇が多いので、比較的安価に購入しやすいのがモダン仏壇の特徴といえます。
上置き仏壇の相場
ミニ仏壇の一般的な相場は5万円ほどとされています。特に安価な品は2万円ほどから、高い部類の品でも10万円ほどで購入できます。
ただし、仏具店によってミニ仏壇の定義は異なるので、ここで紹介している相場より高価な品物も少なからずあるでしょう。必要に応じて実物を見て決めることをおすすめします。
仏壇の購入方法
仏壇を実際に購入するときは、専門店あるいはインターネット上で探すのが一般的な方法です。購入手段ごとの特徴や注意点をご紹介します。
仏壇専門店で購入する
仏壇を買う方法として、仏壇専門店は当然ながらおすすめできる場所です。実物を見て決められるので、家の間取りと照らし合わせたり、仏具を揃える料金も併せて考えたりできる点が仏具専門店を利用するメリットといえます。
ただし、店によっては要望に見合うものがないことも考えられるので、困ったときには葬儀の際に頼った寺院や葬儀業者などに知識を借りることも考えてみましょう。
良質な仏壇専門店を紹介してくれる可能性があります。
インターネットで購入する
近年ではオンラインショップで仏具や仏壇を取り揃えた事業者も増えてきています。
実店舗に仏壇を卸している事業者やメーカーなどが売り手となっているショップを選ぶようにすれば、品質や価格設定に関しても比較的安心して仏壇を購入することができます。
仏具まで合わせて買う場合は、宗派によって必要な品や取り付け方も異なる点に注意した上で購入を検討するべきです。
手軽なミニ仏壇や上置き仏壇などであれば、オンラインショップで気軽に購入しても自力で設置できるのでおすすめできます。
仏壇を購入する際の注意点
仏壇を選ぶ際は、購入するべき時期や置き場所の確保、宗派ごとの違いなどいくつかの注意点が存在します。
主な注意点と対策について具体的に解説します。
購入時期、納期を確認する
仏壇を購入する際は、遅くても四十九日の法要までに自宅へ設置する必要があります。仏壇は故人が成仏した後の家だという考え方があるので、忌が明けるまでに用意するのが好ましいとされます。
しかし、仏壇は購入後から自宅へ届くまで時間がかかることがほとんどです。地域や仏壇の種類によりますが、少なくとも3~5日は掛かると考えて手配することをおすすめします。
受注生産になる場合、より長い期間が必要になる場合もあるようです。
もし四十九日に間に合わない場合は、次の法要となる一周忌に合わせて仏壇を手配すると効率良く法要を進められます。
新たに購入した仏壇は開眼供養が必要であり、一般的には四十九日と同時に行うことが効率的だと考えられます。
宗派を確認する
同じ仏教でも宗派によって適切な仏壇は異なります。具体的には仏壇の中央に安置されている御本尊や脇掛、飾るべき仏具などが異なってきます。
唐木仏壇である場合は宗派によって構造が大きく変わることはないとされます。
ただし、金仏壇は西本願寺と東本願寺で本堂を模した宮殿の形が異なります。
西本願寺は宮殿が一重破風屋根、外柱は金色であるのに対して、東本願寺は宮殿が二重瓦屋根、高欄が朱塗り、擬宝珠が金色、外柱は黒塗りになっています。
本願寺は浄土真宗の本山なので、自分の家系が浄土真宗である場合は仏壇専門店に直接出向いて仏壇や仏具を購入することをおすすめします。
置くスペースを確認する
仏壇を選ぶ際には、前もって設置場所を決めてから購入することをおすすめします。特に下台があると場所を取りやすいので、置くスペースがどれぐらいあるかを事前に測定しておくと良い仏壇を選びやすくなります。
上置き型や小型の仏壇でも、置き場所とする棚や台のサイズに合わせた仏壇を選ぶ必要があります。
まとめ
近年では10万円未満で購入できる小さな仏壇が増えてきており、仏壇は比較的安価に購入できるものとなっています。
とはいえ、高度な装飾が施されていたり、木材や金などを多く使っていたりする唐木仏壇、金仏壇は安くても70~80万円、高ければ150万円を超えることもあります。
安価なミニ仏壇やモダン仏壇などであればオンラインショップで決めてもトラブルは起こりづらいと思われますが、大型の仏壇は注意するべきポイントが多いので、仏壇専門店に直接確認するようにしましょう。