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散骨とはどんなもの?散骨の種類と注意点

  • 更新:2023/12/29
  • 公開:2023/3/7

このような方に読まれています

  • 色々な埋葬方法を知りたい
  • 故人の好きな場所へ散骨できる?
  • 散骨を考えている場合はよく調べよう

最近ブームになってきている葬送方法として散骨があります。

散骨といえば、よく映画やドラマのワンシーンにあるように、故人の願いを叶えるために、船から遺灰を撒いて自然に返すという風景を浮かべますが、実際の散骨はどうやって行うのでしょうか?
また、それまでの段取りはどのように行なっているのでしょうか。

この記事では、散骨とはそもそもどんなやり方なのか?散骨の種類や一般的な散骨の流れについて解説いたします。

散骨とは

故人が亡くなると、火葬を行い遺骨ができます。通常の場合、お墓に納骨して供養していきますが、粉末状に砕いた遺骨の粉を海・山・空などに撒き、自然に返す葬送方法を散骨と言い、最近ブームになっています。

その背景には様々な社会問題があります。例えば、核家族化によってお墓の維持をする人が減少傾向にあることや、東京・大阪など都心の生活に疲れていた故人が、死に際に自然への帰郷を望むなど、多種多様です。
そうした社会背景の中で、散骨は現代における葬送方法として選択肢の1つとして考えられるようになりました。

葬送方法として良いことずくめなような気もしますが、遺骨が残らない・ルールを厳守する必要がある等、見逃せないポイントもあります。
そこで、次に散骨を行う際のメリットとデメリットを解説したいと思います。

散骨のメリット・デメリット

散骨を行う際にはそれぞれメリットとデメリットがあります。自由に、故人の意志を尊重した形で行える一方で、一度骨を自然に返してしまえば、墓参りで故人を偲ぶ機会も失うことになります。

メリット・デメリットをよく考えた上で選ぶと良いでしょう。

メリット

散骨のメリットは以下の通りです。

・価格が抑えられる・維持費がかからない
・居住地に縛られなくなる
・お寺やお墓が潰れる心配をしなくてよい
・故人の意志を尊重できる
・宗教に関係なく行うことができる

価格が抑えられる・維持費がかからない

まず、散骨は通常のお墓への納骨と違い、その場で自然に返すため、お坊さんがお経を唱える必要も無く、それに伴う御布施・お車代・御膳料なども不要です。

従って、必要最低限の遺骨を粉砕する費用と移動費・献花費用で済む散骨は、通常のお墓への納骨に比べて、格段に安い費用で葬送を行うことができます。
またお墓を持つ必要もありませんので、お墓に対して維持費がかからなくなるのもメリットの1つです。

居住地に縛られなくなる

次に、散骨を行うメリットとして、お墓を持たなくて良い為、残された家族が必ずしもその土地に住む必要が無くなります。

したがって、お墓の心配をせず、自由に自分たちの住みたいところに住めるというメリットが出てきます。

お寺やお墓が潰れる心配をしなくてよい

また、当然のことですが、お墓を持たなくなる為、檀家になる必要もなく、「お墓を守るお寺が潰れないかと」いう心配や、「お墓自体が壊れたりしないか」というお墓に関する心配をする必要がなくなります。

気持ちの持ちようも、幾ばくか楽になるのではないでしょうか。

故人の意志を尊重できる

故人の意志を尊重できる点が最大のメリットです。生前に故人が、「私の遺骨は大海原のどこかで散骨して欲しい」と言っていた場合、それを叶えてあげることは最大の供養になります。
風にたゆたい、海に流された遺骨は、墓地でじっとしているよりも死後の自由を謳歌できるのかもしれません。

宗教に関係なく行うことができる

お坊さんのお経をあげてもらう必要が無いため、宗教による制限を受けません。

宗教によっては、この場所は縁起が悪い、このタイミングは教義上禁止されている、など大小のルールが多く存在します。散骨であれば、故人が散骨してもらいたい場所やシチュエーションを自由に選ぶことができます。

デメリット

散骨のデメリットは以下の通りです。

・墓参りや献花ができなくなる
・遺骨を後世に残せない(遺骨が残らない)
・散骨にはルールがあるため、きちんと厳守した上で行う必要がある

墓参りや献花ができなくなる

デメリットの1つとして、お墓が存在しなくなるため、墓参りや献花などの行事ができなくなることが挙げられます。

お墓を花で飾り、お墓の掃除をすることで、故人を思い出し、感謝の意を表すことができるものですが、散骨の場合は遺骨が決まった場所にはありません。
代わりに、散骨した場所を再び訪れ、お祈りや献花等をすることで、哀悼の意を表すことができるでしょう。

遺骨を後世に残せない

遺骨が残らないという点は、散骨するにあたって最大のデメリットです。
考え方によっては、遺骨は必ず後世に残して、代々受け継いでいくものだ、という人もいるため、家族間で合意が得られずトラブルになる可能性もあるでしょう。

散骨にはルールがあるため、きちんと厳守した上で行う必要がある

散骨ができる場所は限られてきます。単純に近くの場所に散骨するのはルール違反です。

たとえ自分の私有地であっても、近隣の住民から同意を得られた場合のみ行いましょう。
海洋散骨(海へ散骨)の場合は、ある程度制限が緩くはなりますが、ルールをよく確認した上で散骨しましょう。

散骨の主な種類

散骨の種類は、主に場所で分かれます。山に散骨する山岳散骨、海に散骨する海洋散骨、宇宙に散骨する宇宙散骨等があります。これらを1つずつ解説していきます。

また、散骨とは「撒く」という動作が関係することから、遺骨を土の中に埋葬する樹木葬は散骨には含まれません。

山岳散骨

山に散骨する山岳散骨はいくつか種類があり、個人山岳葬・合同山岳葬・委託山岳散骨があります。

個人山岳葬は一家族で山に登って散骨するやり方です。あらかじめ散骨しても問題ないか調べたのちに、少人数で故人とお別れをします。

散骨の可否は各自治体によって異なりますので、山岳葬のコーディネーターに相談すると良いでしょう。

合同山岳葬は、いくつかの家族で登山後にセレモニーを行い、合同で散骨するというやり方です。登山ツアーというイメージで考えてもらうと分かりやすいかと思います。

個人山岳葬に比べて自由度は下がります。

委託山岳散骨は、業者にお願いして遺灰の散骨を代行してもらうやり方です。基本的にはご自身の手で散骨されたいと考える方が多いと思いますが、難しい場合もあります。

例えば、体調面で登山が困難であったり、散骨スポットが外の壮大な山など自分では行くことができない所であったり、そうした場合は業者に委託するのも一つの手段です。

海洋散骨

海に散骨する海洋散骨でも、山岳散骨と同様に、個別散骨・合同乗船散骨・代行委託散骨とやり方によって分けることができます。

個別に船を一隻チャーターする個別散骨はプライベート感があり、ゆっくりとお別れができます。

合同乗船散骨は、複数の家族がツアーのように一隻の船を利用して散骨に向かいます。
価格を安く抑えられることが魅力ですが、日程が既に決まっている場合や、散骨する場所が選べない場合があるなど、個別散骨に比べ不便な面もあるようです。

代行委託散骨は、文字通り業者にお願いして海に散骨してもらう方法です。このサービスは、価格面で個別散骨・合同乗船散骨に比べてリーズナブルである点と、散骨してもらえる点が魅力です。

所有権の点では、海は山より緩く、散骨しやすくはなります。ただし、海辺や養殖場などの生物に影響を与えるような場所での散骨は控えます。適切な場所でルールに従って散骨しましょう。

宇宙散骨

宇宙散骨には、2つの方法があります。バルーンを使って上空に飛ばす方法とロケットを使って宇宙に打ち上げる方法です。

バルーンの場合、バルーン自身が浮き上がって行き、地球の成層圏に入るとバルーンが破裂して、中にある遺灰が宇宙に向かって放出されます。

ロケットの場合は、カプセルに遺灰が入れられ、打ち上げられます。宇宙に行ったカプセルは地球の軌道上をまわり、最後には流れ星となるそうです。故人が宇宙好きな人にとっては最高の終わり方ですね。

散骨するまでの流れ

散骨するまでの流れは、次のような流れが一般的です。

1.故人の意志の確認と家族の合意を行う
2.場所、日時、交通手段の決定
3.粉骨(業者に依頼する)
4.散骨

まず初めに、散骨をするにあたって、故人の意志の確認と家族の合意を行いましょう。
故人から散骨を依頼されていた場合でも、家族全員の合意が得られなければ、後々のトラブルになる可能性があるため、きちんと事前確認をすることは欠かせません。

次に、何処で行うか、日時や交通手段を決めた後に、遺骨を業者に依頼をして、粉末化してもらいましょう。自分でも遺骨を粉末化することはできますが、時間や手間ががかかる為、業者に依頼すると良いでしょう。

最後は当日の散骨についてです。その際、献花等は必要ですが、服装を喪服にするかどうかは散骨する場所のルールに従いましょう。

散骨する際の注意点

散骨する際の注意点です。事前準備として、遺骨は必ず一片の長さが2ミリ以下の粉末状にしておきましょう。これは遺骨であるということをわからなくするためであると同時に、自然に帰りやすいようにするための工夫でもあります。

また遺骨の中には銀歯や釘などの金属片が混ざっている場合がありますが、これらは事前に取り除いておきましょう。

さらに、散骨に関する法律をきちんと理解しておく必要があります、散骨して良い場所かどうかは市区町村等の自治体の条例にて規定されていることがあるので、よく調べておきましょう。

次に、実際に散骨をする際の注意点です。よく映画の1シーンでは、サラサラと遺灰を流しますが、これは誤りです。

風が強い時に空中に遺灰を流すと、風で流されて自分自身や船自体に遺灰が降り掛かってしまいます。実際には、水溶性の紙袋の中に遺灰を入れて、その紙袋ごと海へ投下します。

さらに、献花は花束を投下するのではなく、花びらを撒きます。花束についているビニール製のリボンやセロハンテープやアルミホイル等、海に還らないものは全て外します。
このように、散骨に関して注意する事は幾つかあります。きちんとルールやマナーを遵守して、清々しい散骨にしましょう。

まとめ

散骨とはどのようなものかを解説しました。散骨は自然に帰るという観点やコスト面からも良い葬送の方法です。一方、散骨できる場所が限定される点、散骨に際してのルールが厳しいなど、気をつけるべき点も幾つかあります。

故人の意志を叶えるためにも、法律やマナーをきちんと理解して、思い出に残る散骨ができるようにしましょう。

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