香典返しとは
香典返しとは、葬儀あるいは通夜で香典や御花を供えてくださった方への返礼品です。
故人に対してお悔やみの気持ちを表明していただいたことに対し、遺族が感謝を示すという意味があります。
実際に返礼をする時期によって「即日返し」と「忌明返し」の2種類がある他、外部団体の寄付という選択も現代は注目を集めています。これら3つの方法の概要を以下でご紹介します。
即日返し
葬儀当日に、香典をいただいた際か会食の場で香典返しを渡すことを「即日返し」といいます。
会葬返礼品と混同されがちですが別物です。葬儀当日は、香典返しと会葬返礼品を同時に手渡すのが現代では一般的です。
忌明返し
即日返しが葬儀当日に渡すものであるのに対し、後日渡すのが「忌明返し」です。故人が亡くなった日を1日目として、仏式では35日もしくは49日後、神式では50日後、キリスト教式では30日後の忌明けを待ってから渡します。
特に仏教では、宗派に応じていつを忌明けとするか異なる場合がありますが、一般的には35日か49日のいずれかとされています。
寄付をするケースも
近年は、いただいた香典を故人が希望した相手や生前お世話になっていた福祉団体などに寄付する遺族の方も増えています。
寄付する金額は総額の約3割、もしくはそれよりも少ない額が相場です。総額の3分の1以上を寄付する場合、基本的に返礼品は準備しません。
逆に3分の1を下回る場合は、寄付する分を差し引いて香典返しを用意するのが正式なマナーです。
即日返しについて
香典に対する返礼をその場で行う際は、品物の予算や選び方が主な悩みどころでしょう。
葬儀当日は香典返し以外にも考えるべきことが多くあるため、即日返しでも手際よく行えるよう、事前に予算や品物に関して理解を深めておきましょう。
金額の目安
葬儀当日に香典をいただいた際に返す品物は、2,000円~2,500円が適正です。
香典返しの品物は半返しが妥当ですが、葬儀当日に香典の額を予測しておくことは、多くの場合困難です。
前もって何種類も品物を揃えることも現実的ではないので、当日はあらかじめ同じ品物を準備する人が近年では増えています。
ただし、特に高額な香典をいただいた場合は、即日返しとの差額分にあたる品物を後からお返しする人が多いようです。この場合、結果として即日返しと忌明返しを両方とも用意することになります。
品物の例
即日返し用の品物は、食べ物やタオル、石鹸などの「消えもの」が良いとされます。
不運を長引かせないという目的から、すぐ消費する消えものを返すことが世間一般では慣習になっているのです。
ただし、喪中の間は肉や魚、お酒を避ける方もいるので、菓子やコーヒー、紅茶などが無難です。
価格帯も幅広いため選びやすいという利点もあります。近年では軽くて場所を取らないカタログギフトも人気があるようです。
メリット・デメリット
忌明返しをする場合は時間をかけて品物を選べるので、香典の額や相手方の嗜好に合わせた品物を用意しやすいというメリットがあります。
葬儀当日に手配する必要がなくなるので、比較的余裕をもって過ごしやすくなるということも忌明け返しを選ぶもう一つの利点でしょう。
一方で、忌明けまでに品物を発送する相手を把握し、個別に品物を選んで届けられるように手配する必要があります。
忌明返しは宅配便を用いることが一般的なので、配送料が別途発生することも忘れてはいけません。
ただし配送業者によっては送料無料、もしくは割引サービスを利用できる場合もあるので、検討してみると良いでしょう。
香典返しを発送する際の注意点
忌明けに香典返しの品を発送する際は、多くの場合宅配便を利用します。
忌明け返しの品には御礼の言葉を添えたり、熨斗(のし)紙を付ける際に包装形式を工夫したりする必要があります。
挨拶状を添える
忌明返しをする場合、品物に挨拶状を添えるのがマナーです。
挨拶状は、納骨や四十九日などの忌中に行う法要が無事に済んだことを報告し、当日いただいた香典に対する感謝の気持ちを伝え、また目的があります。
忌明けの挨拶状は葬儀業者に手配してもらうのが最も確実です。基本的には業者が用意した例文から選ぶ形で作成することになります。
自分の言葉で感謝を表したい場合は自筆で用意するか、葬儀関連の事業者へ依頼しましょう。なお、即日返しをする時には不要です。
のしを付ける
一般的に、香典返しの品は「内のし」という形式で包装するのがマナーです。内のしとは、弔事に用いる紙を品物に掛けて、外から見えないように熨斗(のし)を付ける包み方です。なお、外から見えるように熨斗を付けることを「外のし」といいます。慶事の際に適した包み方ですが、地域によっては弔事でも外側に熨斗を付けることがあります。
のし紙の表書きは、「志」と書けば地域・宗派問わず通用しますが、西日本では「満中陰志」と書く風習があります。中陰とは忌中という意味であり、忌明けあいさつという意味合いを持ちます。
水引に関しては、東日本は黒白、西日本は黄白の結び切りが主流です。
なお、神式・キリスト教式では「偲び草」と書く場合もあります。どちらの宗教も、水引は黒白の結び切りが一般的とされます。
まとめ
香典返しは、地域によって当日返しと忌明返しのどちらかに行うものです。
当日返しは無理に品物を揃えようとせず、全員に同じものを渡す形式にすることをお勧めします。
忌明返しの品物は挨拶状を添えて熨斗紙で包むのがマナーとされていますが、熨斗の付け方や表書きには地域ごとに決まりがあります。
予算や品物も相手によって異なるので、香典返しに関する基本的なマナーや知識を押さえて、香典を寄せてくれた方への感謝を正しい形で伝えましょう。